みなさんは、誘拐事件の件数は年間でどれくらいになるのかご存知でしょうか?子どもを狙う悪質な犯罪が後を経ちません。その中でも誘拐事件は減少することなく、横ばいです。誘拐事件では、以前は身代金目的の誘拐が多かったのですが、近年ではわいせつ目的での連れ去りも発生しています。わいせつ目的の誘拐では女児だけではなく、男児も狙われます。性別や年齢に関わらず、犯罪者から身を守る対策をとらなければならないのです。
今回は誘拐事件の件数推移と、子どもを守る対策についてご紹介いたします。
誘拐事件の件数推移
まずは略取誘拐・人身売買の件数から、誘拐事件の実態を知りましょう。
平成30年の略取誘拐の認知件数は304件、検挙件数は283件となり、検挙率は93.1%でした。令和元年の認知件数は293件で検挙件数は283件、検挙率は91.5%となります。近年の略取誘拐の認知件数は300件前後となり、1日約1件のペースで誘拐事件が発生していることになるのです。過去の認知件数を見ても、これまで大きく減少しているわけではなく横ばいの状態といえます。
次に被害者の年代を見てみましょう。平成30年では認知件数304件のうち最も多いのが中学生で79件。次に多いのは65件の小学生、そして高校生が59件と続きます。
令和元年では小学生の被害が最も多くなり、件数は77件、次いで高校生が65件、中学生が64件となります。
年代別で見ると、小学生は未就学児よりも約2倍被害に遭いやすいでしょう。平成30年は1.8倍、令和元年には2.6倍というように、未就学児よりも小学生はより誘拐事件に注意しなければならないのです。
また誘拐事件と聞くと幼い子どもが誘拐されるという印象を持つ人は多いのですが、実際は、未就学児よりも小学生や中学生、高校生が被害に遭いやすいことが分かります。
罪名別で見ると、どの年代も未成年略取誘拐が最も多いでしょう。ですが、わいせつ目的略取誘拐も発生しています。
誘拐事件から子どもを守る為の対策について
誘拐事件を防ぐ為に、子どもと防犯についてよく話し合いましょう。わいせつ目的の誘拐は女児だけではなく、男児も狙われます。性別に関わらず、犯罪者にターゲットにされる恐れがあることを保護者が子どもに伝える必要があるのです。
ですが、幼い子どもに伝えるのは難しいものです。その場合は防犯に関する絵本を読み聞かせ、防犯意識を高めるようにしましょう。
また「いかのおすし」という約束を徹底させることも防犯対策の一つです。
「いかのおすし」とは下記のものです。
・知らない人について「いか」ない
・車に「の」らない
・怖い、嫌だと思ったら「お」おごえを出す
・「す」ぐに逃げる
・何かあったら大人に「し」らせる
繰り返し教えたり、こんな時はどうするかというシミュレーションしましょう。子どもと一緒に通学路を歩いたり、公園に行ったりして犯罪に巻き込まれやすい場所を教えたり、もしも何かあったら交番や警察署、子ども110番の家等どこに助けを求めればいいのかよく話し合うことも大切です。
それから防犯ブザーについてですが、ランドセルや通学用バッグにつけている子どもは多くいます。しかし放課後や休日外出する時もに防犯ブザーを持っている子どもは少ないでしょう。犯罪に巻き込まれるのは、登下校の時と限りません。可能であれば防犯ブザーは複数持ち、休みの日に使うバックにもつけるようにしましょう。いざという時ためらわずに使えるように、日頃から練習することも必要です。
誘拐事件は増加しているわけではありませんが、減少もしていません。卑劣な犯罪から子どもを守る為、日頃から防犯意識を高く持つようにしましょう。
まとめ
・略取誘拐の認知件数は年間で300件前後
・小学生は未就学児よりも約2倍被害に遭いやすい
・わいせつ目的の誘拐は男児も被害に遭う
・防犯に関する絵本を読み聞かせ防犯意識を高める
・「いかのおすし」の約束を子どもに繰り返し教える
・防犯ブザーは放課後と休日にも持ち歩くようにする
参考サイト
◆ALSOK 小学生の防犯対策
https://www.secom.co.jp/homesecurity/bouhan/e/kodomo/hanzai_data.html
◆警察庁 令和元年の刑法犯に関する統計資料
https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R01/r01keihouhantoukeisiryou.pdf