冬が本格化する中、インフルエンザが猛威をふるっています。感染力の強い感染症は家庭内でうつることがあります。今回は自分や家族が風邪や胃腸炎などの感染症に罹ったとき、家庭内感染を防ぐためにできることについてお伝えします。
隔離する
インフルエンザなどの感染症は患者の飛沫(咳・くしゃみ)を介して感染します。家庭内感染を防ぐためには患者を個室に隔離することが望ましいです。この時に患者がいる部屋のドアは必ず閉めておくようにし、看病する時以外は出入りしないようにしましょう。
部屋数の都合で隔離ができない時、患者が子ども・乳幼児で目が離せない時は、患者と直接接触する機会をなるべく減らすようにしましょう。「患者と健康な人との食事のタイミングをずらす」「患者との距離を確保する」といった対策が効果的です。
マスクを着用する

患者を看病する時・患者の汚物を処分する時は飛沫を吸い込まないようにするため、必ずマスクを着用してください。
マスクは使い捨てマスクが衛生的です。マスクを着用する時・着脱する時は正しい方法で行い、手が鼻や口に触れないように気をつけてください。使い終わったマスクは、蓋付きの密閉されたゴミ箱に捨てるようにしましょう。
マスクには感染を拡大させない効果と、感染を予防する効果があります。家庭内感染を防止するためには、患者と健康な人の両方がマスクを着用することが望ましいです。
汚物は正しい方法で処分を行う
患者の汚物にはウイルスが多量に含まれています。ウイルスが拡散しないように、患者の汚物は密閉して処分することを心がけてください。鼻をかんだティッシュなどは蓋がついたゴミ箱に捨ててもらうようにしましょう。
嘔吐物を処理する時は手袋、メガネ、ガウンなどを装着し、ペーパーで外側から内側にかけてふきとります。その後嘔吐物がかかった場所を、塩素系漂白剤を薄めて作った漂白剤で消毒しましょう。塩素系漂白剤で作った消毒液はノロウイルス対策というイメージが強いですが、インフルエンザウイルスの消毒にも使用することができます。
嘔吐物を処理したペーパー、消毒に使用したペーパーなどはビニール袋に入れて密閉し、すぐに処分してください。
消毒をする
患者が触った場所にはウイルスが付着している可能性があります。家庭内感染を防ぐためには、ウイルスが付着していると考えられる場所を消毒することも必要です。
ドアノブ、スイッチ、手すり、便座、テーブル、椅子など患者が触れる機会が多い場所・物は、消毒薬でこまめに拭き取るようにしましょう。
患者が使用した食器などは通常の食器用洗剤で消毒することができますが、熱水で消毒を行うのも効果的であるとされています。使い捨ての食器を用意し、その都度処分する方法もあります。
患者が使用した衣類やシーツ類は通常の洗濯でウイルスを洗い流すことができます(嘔吐物などが付着している場合は、塩素系漂白剤を用いて消毒しましょう)。
手洗いを励行する

「患者と接触した後」「汚物を処理した後」「消毒を行った後」は、ウイルスが手に付着しています。必ず手洗いを行い、ウイルスを洗い流しましょう。手洗いを行う時は石けんを使用してください。また、「指先」「爪の間」「指と指の間」「手首」なども念入りに洗い、ウイルスの洗い残しがないようにしましょう。
インフルエンザウイルスはアルコールに弱いと考えられています。手洗いの後、アルコール消毒スプレーで手を消毒することも効果的です。
加湿と換気を行う
インフルエンザウイルスは室温20℃・湿度50パーセントの状況で生存率が低下すると考えられています。家庭内感染を防ぐためには加湿器などを使用し、湿度を50パーセント程度に保つように心がけましょう。エアコンや電気ストーブを使用している室内は空気が乾燥しがちです。意識的に加湿を行いましょう。
また、患者から排出された飛沫が空気中に漂っている状況は、家庭内感染のリスクを上げます。定期的に換気を行い、部屋のインフルエンザウイルスを少なくするようにしましょう。1~2時間に1回のペースで行うようにしてください。
まとめ
・患者を隔離し、接触する機会を少なくする
・患者・家族ともにマスクを着用する
・汚物は密閉して処分し、ウイルスの拡散を防ぐ
・患者が触った場所を消毒する
・手洗いを励行する
・加湿や換気を心がける
参考サイト
◆町田市:「家族がインフルエンザにかかったら」
◆東京都健康安全研究センター:「インフルエンザ予防のための加湿・換気対策」