2016年8月末から9月に掛けて強力な台風がたびたび日本を襲いましたが、10月に入ってからも、中国大陸へ向かうと考えられていた台風第18号が沖縄経由で再び日本へ方向を変え、6日には関東まで到達する見込みです。
一方で中米のカリブ海では、過去10年で最大規模を誇るハリケーン「マシュー(Matthew)」がジャマイカとハイチに襲い掛かろうとしています。
かつて2005年に北米を襲ったハリケーン「カトリーナ(Katrina)」と同じく大規模な被害を招く可能性が指摘されています。
それぞれ警報などに十分注意し、警戒してください。
ところで、台風とハリケーンにはどの様な違いがあるのでしょうか? 調べてみました。
熱帯低気圧の呼び方
地域によって様々な呼び方がある。
台風とハリケーンは気象現象としては同じ「熱帯低気圧」という現象に区分されます。
いずれも分厚く出来た渦を巻く積乱雲の塊で、中心に目と呼ばれる雲が存在しない穏やかな場所が出来ます。
渦の回り方は北半球と南半球で逆方向になるのも特徴です。
台風の場合は時計回り(右回り)に回転しています。
いずれも暖かい海がある場所で発生し、台風の場合は東南アジア海域などの北西太平洋、ハリケーンは北米周辺の北東太平洋と北大西洋、インド洋及び南米までの南太平洋では「サイクロン」と呼称します。
南米の東側では滅多に熱帯低気圧が発生しないので明白な呼称はありませんが、2004年にブラジル沖で熱帯低気圧と考えられる気象現象が発生し、その時にはサイクロンと呼称されていました。
台風vsハリケーン、どちらが強い?
学術上は更に区分が分かれる
台風もハリケーンと共に強力なエネルギーを秘めた気象現象で、進路によっては大きな災害を招く可能性のある存在に変わりはありません。
ですが、世界気象機関では風速によって4つの区分に分類しています。
風速17.1m毎秒までの熱帯低気圧をトロピカル・デプレッション、17.2~24.4m毎秒までをトロピカル・ストーム、24.5~32.6m毎秒までをシビア・トロピカル・ストーム、32.7m毎秒以上をタイフーンと呼んでいます。
台風はトロピカル・ストーム以上の熱帯低気圧全般の事であり強さに幅がありますが、ハリケーンはタイフーンに区分されるものだけを呼称するので非常に強力です。
タイフーン級の強さになると、サファ・シンプソン・スケールという強さを表す基準があり、これも風速がひとつの目安になります。
最大のカテゴリー5では風速70m毎秒以上という建物を破壊してしまう程の嵐が吹き荒れます。
過去の事例では、1992年8月17日に生まれたハリケーン「アンドリュー(Andrew)」や1979年10月6日発生の台風第20号が該当し、いずれも広範囲に渡って甚大な被害を及ぼしました。
特に台風第20号は世界で一番低い気圧870hpaを記録した熱帯低気圧で、史上最強の台風です。
ハリケーンと台風ではハリケーンの方が強力な場合が多いものの、最強の熱帯低気圧としては台風が記録を保持しています。
10月早々と迫っている台風第18号とハリケーン「マシュー」は、いずれもカテゴリー4に区分される勢力を保っており、しっかりとした対策を行う事が大切です。
警戒を怠らないようにしてくださいね。
まとめ
- 熱帯低気圧は地域によって「台風」「ハリケーン」「サイクロン」と様々な呼び方がある。
- ハリケーンの方が台風より強力な場合が多いが、最強の熱帯低気圧といえる世界で一番低い気圧の記録は台風が持っている。