みなさんは119番や110番に電話したことはありますか?ご存知、消防や警察を呼ぶための緊急コールですが、電話するような時は大抵慌てているので、上手く状況を説明できなかったという人も多いのではないでしょうか。実際、自分の家の住所が思い出せないくらい慌てていた、という人もいるほどです。外出先や旅行先での通報となれば、なおさら今いる場所を伝えるのは難しいでしょう。そこで今回は、外出先から携帯電話で通報するときのポイントについてご紹介します。
119番通報のしくみ

私たちが119番通報すると、管轄する消防本部の通信指令室に繋がります。東京23区の場合は、千代田区大手町にある東京消防庁の災害救急情報センターという所に繋がります。電話に出たオペレーターに、現場の住所や状況などを伝えると、消防隊や救急隊などに出動指令を下し、私たちのもとに助けに来てくれます。
固定電話から通報した場合、電話の契約者の情報(登録住所を含む)を消防側が取得することができるので、現場の住所を正確に伝えられなくても大丈夫です。しかし、携帯電話の場合は契約者の住所ではなく、携帯電話が今ある場所を特定することが必要になってきます。そこで、携帯電話からの通報時における位置情報通知システムの運用が始まりました。
119番位置情報通知システムとは

携帯電話から119番通報した場合、GPSを利用して通報者の位置情報を消防が取得し、指令装置の地図上に表示するシステムのことで、平成19年4月から全国の消防本部で運用が開始されました。このシステムにより、現在地が分からない(山で遭難してしまった、山道で交通事故を起こした…)場合や、言葉を発せられない状況においても、ある程度の精度で位置情報を得ることができるようになりました。
しかし、このシステムが効果を発揮するには、通報者の携帯電話のGPS機能をONにしている必要があります。筆者が消防本部の通信指令室に勤務していた時も、通報者の携帯電話のGPS機能がOFFになっていたことから、正確な現場の位置が把握できずに困ったことがありました。「お使いのスマホのGPS機能を有効にしてください!」と伝えても、使い方が分からないと答える人が多かったように感じます。こうならないためにも、いざという時のためにGPS機能をONにしておきましょう。
携帯電話にGPS機能がない場合は?
GPSによる位置情報を得られない場合は、受信したアンテナ(電話会社の基地局)の位置から算出したおおよその場所を知ることも可能ですが、この場合は誤差が大きく、正確な場所を特定するのは難しくなります。従来どおり、目印となる目標物を口頭で聞き取り、地図上で調べる方法をとることになるので、場所を特定するまでに時間がかかります。
まとめ
・携帯電話から119番通報する時は、あらかじめGPS機能を有効にしておくこと
・消防側がGPSによる正確な位置情報を得られない場合もあるので、目印になりそうな目標物を口頭で伝えること。
参考サイト
◆総務省消防庁:「携帯電話・IP電話等からの119番緊急通報に係る
位置情報通知システムの運用が4月1日から始まります」
◆石狩北部地区消防事務組合:「携帯電話からの119番通報について」