皆さんは、『安政南海地震』という地震を知っていますか。
『最近地震は多いけど、安政南海地震は知らないなー』という方は多いと思います。
その理由は、この地震が発生したのは、1854年に起きた地震だからです。
なぜ今回この地震について、取り上げるのかというと、今後起こりうる『南海トラフ地震』と同じ地域で発生する可能性が高いからです。
そこで、この安政南海地震を知ることで、どの地域に、そしてどのくらいの被害をもたらすのかを多くの方に知ってほしいということで、今回紹介していきたいと思います。
安政南海地震って何?
ではまずこの安政南海地震の概要についてみていきましょう。
安政南海地震は、11月5日に南海道沖を震源とするM8,4という巨大地震が発生しました。
特に、近畿から四国、九州東岸に至る広い地域に甚大な被害をもたらしました。
またこの地震による津波の被害も多く、土佐地域では、推定6メートルから7メートルの大津波が押し寄せ、372が溺死したというデータも残っています。
この地震による全国的な被害は全壊家屋 20000余戸、半壊家屋40000余戸、焼失家屋2500余戸、流失家屋15000余戸、死者約30000人と推定されています 。
やはり今も昔も、日本は自然災害によって甚大な被害を受けてきたことが分かりますよね。
しかも、この安政南海地震は、今後起こりうるとされる『南海トラフ地震』と同じ規模で、同じ地域への大地震である可能性もあります。
時代は違えど、この安政南海地震から多くの教訓を学べるのではないでしょうか。
安政南海地震の前にも大地震が起きていた?
安政南海地震は、近畿から東海、四国、九州の地域で甚大な被害を出しました。
しかし、この安政南海地震の32時間前には、この地震と同じ規模の『安政東海地震』が発生しました。
この安政東海地震は、安政南海地震が起きた32時間前の11月4日に、駿河湾から遠州灘、紀伊半島南東沖一帯を震源とするM8,4という巨大地震が発生しました。
この地震で被害が最も多かったのは静岡県の沼津から天竜川河口に至る東海沿岸地で、町全体が全滅した場所も多数あったそうです。
地震による津波の被害も甚大で、伊豆下田では、推定6メートルの津波が押し寄せ、122人が溺死したデータが残っています。
地震の被害は流失家屋8300余戸、死者600人余と甚大なものでした 。
2日連続で、M8以上の大地震が発生することは、現代では想像もできませんよね。
さらに当時は、建物の強度が弱かったり、火災を消火するための道具(消火器やスプリンクラー)がなかったと思うので、被害がさらに甚大になった要因であるともいえます。
この安政南海地震や安政東海地震からの教訓を生かし、今後起こりうる安海トラフ地震に向けた対策が重要になってきます。
南海トラフ地震は、過去約100~150年の間隔でM8前後の地震が繰り返し起きています。
その被害も甚大で、最大M9,1、死者32万人 が想定されています。
安政南海・東海地震から今年で162年・・・
南海トラフ地震はいつ起きても、不思議ではない状況になってきました。
これから、地震に対する防災意識を高め、いつでも行動できるような準備が重要になってきます。
まとめ
・今後起こりうる南海トラフ地震と同じ規模、同じ地域での地震が江戸時代に起きていた
・安政南海地震の32時間前に、安政東海地震が起きていた
・南海トラフ地震は100年から150年の間隔で繰り返し起きている
参考文献
◆防災システム研究所「安政南海地震」
◆内閣府「南海トラフ巨大地震編」