平成29年1月に「避難勧告等に関するガイドラインの改訂」が行われました。
これは何かというと、皆さんの住む地域にある防災無線から流れる避難を呼びかける基準を見直したものです。
その中でも皆さんに特に直接かかわる部分として、避難を呼びかける言葉(避難情報)が変わりました。
避難を呼びかける言葉の変更
どう変わったのか? 下記に列記してみます。
『避難指示』→【避難指示(緊急)】
『避難勧告』→【避難勧告】
『避難準備情報』→【避難準備・高齢者等避難開始】
これから、河川の氾濫・高潮・土砂災害等が予想される場合に呼びかけられる言葉になります。
特に『避難準備情報』が【避難準備・高齢者等避難開始】と変更された事が一目でわかります。
避難情報の発令に伴って皆様に期待される行動とは
【避難指示(緊急)】
まだ避難していない場合は直ちにその場から避難するか、外出する事でかえって命に危険が及ぶような状況では、建物内のより安全な場所に避難します。
【避難勧告】
避難場所へ避難を開始します。そして地下空間にいる人は、直ちに安全な場所へ避難します。
【避難準備・高齢者等避難開始】
いつでも避難できるように準備します。身の危険を感じる人は避難を開始します。
高齢者や障害者、妊婦や乳幼児がいる場合は、介助者と共に避難を開始します。
一番レベルの低い【避難準備・高齢者等避難開始】の発令で、避難に時間のかかる人の避難開始を促すようになった事が、今回の改訂での大きなポイントになります。
これは平成28年8月に起きた台風第10号による小本川の氾濫で、岩手県岩泉町にある認知症高齢者グループホーム「楽ん楽ん(らんらん)」の入所者9名が、洪水被害で亡くなった事例を元に、名称の変更が検討されて改訂に至った経緯があります。
台風10号による豪雨に晒された岩泉町は全域に『避難準備情報』を発令しましたが、施設は『避難準備情報』発令が、災害時要援護者の避難開始を意味する事だとは思わなかったという事がありました。
更には「楽ん楽ん」のある地域は『避難勧告』が発令される事はなく、かつ『避難勧告』が発令されても、既に避難不能だったと予想された事から、よりわかりやすい名称に変更される事になりました。
今回の改訂で、避難準備という差し迫らない印象から、差し迫っているという強い印象の言葉に変更となりました。
少なくとも内閣府は、自治体から災害情報が発令された場合には、災害が差し迫っているというような意識転換を市民に呼びかけています。
内閣府の「避難勧告ガイドライン」の伝達文
内閣府の「避難勧告ガイドライン」から伝達文の例を引用してみましょう。
「緊急放送、緊急放送、避難準備・高齢者等避難開始発令。」
「こちらは○○市です。○○地区に○○川に関する避難準備・高齢者等避難開始発令を発令しました。」
「○○川が氾濫するおそれのある水位に近づいています。」
「次に該当する方は、避難を開始してください。」
「お年寄りの方、体の不自由な方、小さな子供がいらっしゃる方など、避難に時間のかかる方と、その避難を支援する方については、避難を開始してください。」
「川沿いにお住いの方(中略)については、避難を開始してください。」
「それ以外の方については、避難の準備を整え、気象情報に注意して、危険だと思ったら早めに避難をしてください。」
「避難場所への避難が困難な場合は、近くの安全な場所に避難してください。」
いずれにしても、避難情報の発令がなされたら避難するものとして行動を始めましょう。
これが自分や家族の命を守る行動になります。
その為には避難場所や、避難の経路において危険な場所の選定など、日ごろの散歩やお出かけにおいて確認しておくことが重要です。
これから災害が増えて激甚化する事が予想されるという事が、同じように内閣府から発表されています。
この機会に是非、避難の用意のおさらいをしてみてください。
まとめ
・避難情報の発令は、避難するものと考える事
・避難情報の発令に伴って、子供や高齢者が同居していたら、避難開始する事
参考サイト
内閣府 防災情報のページ