2016年4月に発生した熊本地震、1995年1月に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)。
この2つの地震には、ある共通点があるのをご存知でしょうか。
地震は大きく分けて、陸域にある活断層を中心に浅い場所で起こるもの(陸域の浅い地震)と、海のプレートが陸のプレートに向かって沈み込むプレート境界及びその周辺で起こるもの(海溝型地震)が存在します。
そのうちの前者が熊本地震と兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)なのです。今、将来的なリスクが取り沙汰されている首都直下型地震も同様の活断層で起こる可能性があります。
現在、文部科学省や気象庁が参加する政府の地震調査研究推進本部では、一人ひとりが活断層を中心として起こる地震をよく理解し、事前の備えを促進していただける取り組みを進めています。
今回は活断層の地震に備える取り組みに関して、文部科学省 研究開発局 地震・防災研究課に取材させていただきました。
活断層とは
陸のプレートの破断箇所

「活断層の地震に備える」(文部科学省・気象庁)より
断層は陸地を作っている岩盤に強い力が加えられ続けた結果、耐えられなくなった時に現れる「地面の割れ目」です。
特に、過去に繰り返し地震を起こし、将来も地震を起こすと考えられている断層の事を活断層と呼びます。
活断層の動きにより地震が発生し、その周辺では強い揺れに見舞われます。地盤の軟らかさや厚さによっては揺れが増幅する場合があります。
東北地方太平洋地震(東日本大震災)に代表される海溝型地震に対して、陸域の深さ20kmより浅い場所で起こる事から「陸域の浅い地震」と表現されます。
震源が浅い事により揺れが激しくなる傾向があり、2008年に起こった岩手・宮城内陸地震では4022ガルという世界最大の加速度を記録しました。
この数値が大きいと、瞬間的に大きな力がかかるので、体感できる揺れも激しく感じます。
活断層の地震に備える
文部科学省と気象庁が共同作成

「活断層の地震に備える」(文部科学省・気象庁)より
活断層を中心として起こる内陸の浅い地震では過去に地震が起こって地表に断層が見えている場所もあれば、地表に断層が出てきてないだけで、地中に存在するパターンもあります。
また、普通の人が見ても断層が活断層であるか知るのは非常に難しい事です。
文部科学省と気象庁では、多くの方々に活断層の位置とそれに伴う地震の可能性を知って、いざという時に備えて貰える様に「活断層の地震に備える -陸域の浅い地震-」という冊子を共同作成しています。
これには、全国版と地方版(8地域:北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄)があり、全国版と関東地方版は既にWEBでも公開しており(2017年2月現在)、関東地方版以外の地方版も3月末を目処に制作が進んでいる最中です。
全国版を例にすると、陸域の浅い地震が発生する仕組みや、日本列島の各所にある活断層の位置と今後30年以内に起こる地震のリスクが一目で分かるようにされており、特に危険度が高いものに関しては予想されるマグニチュードも記載されているので参考にするとよいでしょう。
活断層の地震が起こった場合、緊急地震速報より早く揺れがやって来る場合があるので、突然の揺れに驚かされる場合があります。
また、熊本地震のように複数の断層で立て続けに地震を引き起こす事も考えられます。
地方版では、具体的な震度と揺れが及ぶ範囲も説明されているので、参考にしつつ備えていきたいですね。
まとめ
・活断層を中心とした内陸の浅い地震は、地震の発生する場所が浅いことから揺れが大きい。
・文部科学省と気象庁が共同作成した、陸域の浅い地震が発生する仕組み、活断層の位置などを分かり易く説明している冊子がある。
・事前に何処で大きな地震が発生し揺れる可能性があるのかを調べて、日頃から備えよう。
3.11東日本大震災 特集一覧はコチラ
参考サイト
◆各種パンフレット 政府地震調査研究推進本部
◆よくある質問集 > 震度・マグニチュード、その他 気象庁
◆刊行物・レポート 気象庁
◆地震・防災研究 文部科学省
◆J-SHIS地震本部が公表している活断層の位置やそれらによる揺れの大きさを地図で見る 防災科学技術研究所