過去の大きな地震では、主要な道路が何かしらの被害を受けてしまい支援物資の搬入に大きな支障を招きました。
将来起こる事が想定されている南海トラフ沖地震では首都圏への交通路が麻痺してしまう可能性が危惧されています。
現在、東京都が行っている緊急車両を優先する為の災害時交通規制の取り組みを調べてみました。
首都圏への車両の流れ
緊急車両以外は通行止め
警視庁では大規模災害が発生した場合の対策として東京都を囲うようにして走る環状7号線より内側の道路に関して交通規制を行うとしています。
段階としては2段階が想定されており、第一次交通規制では道路交通法に基づいて環状7号線以内へ向かう車両も通行禁止となり、国道4号線・国道20号線・目白通り・首都圏への高速道路が緊急自動車専用道路として消防や警察・自衛隊などの緊急車両以外の通行が禁止されます。
状況によっては環状線内側からの交通も規制されます。
第二次交通規制では災害対策基本法に則り緊急交通路へと権限を強めると共に、27か所の道路が追加で指定されます。
緊急交通路では緊急車両に加えて災害応急対策を行う許可証と証票が交付された車両のみ走る事が許可されます。
通行を確保する試み
特定の道路沿いでは高い耐震性が要求される。
緊急用の道路を指定していても、地震による瓦礫などで通行止めとなってしまっては能力を発揮する事が出来なくなります。
そこで東京都では都内の道路に特定緊急輸送道路を指定して沿道の建物には一定以上の耐震性を保つように条令で定めています。
距離にすると約1000kmにも及び、関係する建物の数は5000棟ほどあります。
2014年4月より耐震診断を受ける事が義務付けられており、指定されている箇所の建物は災害時の安全を提供するという意味でも重要な役割を果たす事になります。
ドライバーが注意しておく事
災害時には車を動かさない
個々のドライバーが災害時に注意しておく必要がある事は、避難する為に車で移動する事を行わない事です。
人々が勝手気ままに車を動かして避難すれば、道路は瞬く間に渋滞して二次災害を招く危険性があります。
救助の到達も遅くなるので、自力で動く事の出来ない高齢者などの支援が必要な方以外は車で避難する事は絶対に行わないでください。
乗車中に被災した場合は慌てずに車を道路脇に停めて、鍵を付けたまま避難してください。
貴重品などは車内に残さない様に注意しましょう。
鍵を付けたままにするのは、救助活動に支障があった場合に素早く車両を退かす為です。
阪神淡路大震災の教訓として偽造された緊急通行許可証が出回り、結果的に渋滞を招いてしまったという事例があります。
大規模災害の時に助けを必要とする人々は大勢いる事が予想されるので、そのような行為を見つけたら警察に相談する様にしましょう。
警視庁では震度6弱以上の地震が発生したあとには、自動車に乗らないように呼び掛けています。
災害時の自動車を用いた交通ルールの規定は、円滑な救助活動を実現し支援物資が素早く届く為に必ず守るべき事です。
緊急時には自動車から降りて救援を待ちましょう。
まとめ
・緊急時は首都圏で大規模な交通規制が行われる。
・東京都では緊急用の道路周辺で耐震対策が行われる様義務付けられている。
・災害時は自動車から降りて、身勝手な運転を行わない。
参考資料
・東京都防災ハンドブック