昨今の高齢社会による影響を受けて、東日本大震災で被災された方にも相当数の高齢者がいました。
この様な状況を踏まえて、総務省では高齢者の社会的な孤立を防ぐ事と災害時の対策をどの様にするか取り組みをはじめています。
今回は高齢者の被災に対して自治体がどの様に情報を集めているのかを紹介致します。
高齢社会の実情
世帯の半数近くに高齢者がいる
総務省が現在の高齢者問題に関して平成25年に行った「高齢者の社会的孤立の防止対策等に関する行政評価・監視 結果報告書」によると、高齢者世帯数は平成23年の時点で1942万世帯と日本の全世帯数に対して41.6%に当たります。
特に単身独居高齢者や高齢者夫婦の人数も増えており、政府は高齢者が日常から地域社会と繋がりを持ち、高齢者が孤立して問題を抱えないようにする必要があるとしています。
特に災害時に於ける高齢者の避難支援は早急に充実させる必要があるとされています。
高齢者避難に関する取り組み
自治体や地域で高齢者を支援
総務省の報告書によると、平時から災害対策をしっかり整えていた自治体では災害の被害が少なかったという事実を踏まえて、高齢者を対象とした災害対策マニュアルの作成を市町村や自治体を中心として作成する必要があるとされています。
例えば平成16年10月の台風23号が上陸した際に、阪神・淡路大震災の教訓から災害対策マニュアルなどを整えていた兵庫県豊岡市西花園地区ではしっかりとした避難支援体制を整える事が出来たために、高齢者を含めた犠牲者をゼロにする事が出来ました。
避難に関する問題点
個々人の把握が課題
東日本大震災では、災害による直接的な被害で亡くなられた方は全体中65.8%が高齢者で、災害後の避難生活などで亡くなられた震災関連死者では全体の89.5%が高齢者でした。
この背景には、要援護者支援のために被災地へ入った障害者支援団体やボランティア団体に災害時要援護者名簿などの助ける為に必要な情報が提供出来なかった事が挙げられています。
個人情報の保護やそもそも名簿が作成されていないといった問題があり、迅速な避難を実現する為にも早急な制度の作成が進められています。
高齢者などの支援が必要な方の情報を集める手段としては次の3点があります。
関係機関共有方式
自治体が持つ要援護者の情報を他の防災関係機関と共有できるようにする方式で、情報を漏れなく把握する為には理想的な方法です。
平時から自治体の福祉関係部局と連携する必要がある事や、個人情報の保護を何処まで行うかといった問題はありますが、情報を登録して頂く段階で本人に同意を取るといった対策を行う事も可能です。
手上げ方式
要援護者への支援制度立上げに伴い、周知活動を行って本人より直接登録の希望を貰い、情報を集める方式です。
対象者が制度を知らなければ参加できない事や、参加する必要がないと思ってしまった場合は、災害時に支援が受けられなくなる危険性があります。
同意方式
防災関係部局などが対象者へ直接働きかけて登録を促す方式です。本人が拒否しない限り情報が集められる一方で、他機関と情報共有が出来ない為、緊急時に情報が重複してしまったり、逆に充分な情報を共有できないといった問題が発生します。
関係機関共有方式と同意方式を組み合わせた施策が進められるのが理想的ですが、個人情報の利用に関して不安を覚える方への配慮が必要なのも事実で、平成25年の段階では要援護者名簿自体が充分に作成されていないという課題があります。
今後も登録者数を増やし、助けの必要な高齢者の下へ支援が行き届くようにする事が大切です。
一層の対策が行われるように期待しましょう。
まとめ
・高齢社会が進み、災害時に支援が必要な人が増えている
・要支援者名簿などの助けの必要な高齢者が何処にいるかを知るすべが必要とされている