2011年3月11日の東日本大震災から6年が経過します。
東日本大震災では揺れによる被害だけでなく、津波によって多くの方々が尊い命を落とされました。
60歳以上の亡くなられた方は岩手県・宮城県・福島県の3県だけで7241人となり、警察庁の資料を内閣府がまとめ直したものによると、3県で亡くなられた方の内92.4%の方が溺死だった事が分かっています。(3県の死者数は13,135人におよびます)
津波から逃れる事は、高齢者にとって非常に困難な課題です。
今回は、高齢者が安全に避難するために、家族はどの様な事をすればいいのかを紹介します。
避難先の選定
出来るだけ近い場所へ
高齢者の避難において、大切な事は出来るだけ短時間で確実に安全な場所まで避難する事です。
事前にハザードマップなどで確認を行い、最寄りの安全な場所へ避難出来るよう考えておきましょう。
避難訓練で普段お世話になっている場所へ行くのもよいですが、想定にとらわれず高台や津波避難ビルへと逃げ込む事も一つの手段です。
岩手県陸前高田市では指定避難場所に「想定していた津波よりも高い波が押し寄せた」事で、避難場所へ訓練通りに来た方々が巻き込まれるという悲劇が起こっています。
また、地域の民生委員などを務め、高齢者をはじめとした要援護者を助ける役割を担う方は最寄りの緊急避難先を把握しておく必要があるでしょう。
東日本大震災では56人の民生委員が人を助ける為に命を落としています。
避難に用いれる時間は限られているという事を忘れないようにしましょう。
避難方法
自動車について考える
通常、災害時の避難に用いる移動手段は徒歩によるものとされており、自動車による避難は自粛を求められています。
一方で、高齢者や歩くのが不自由な人、避難場所があまりに遠い人は歩いて避難するのが現実的ではない場合があります。
確かにそのような場合は自動車を用いた避難を検討する必要がありますが、これに関しては地域で「誰が車で避難して良いか」をきっちり定める必要があります。
東日本大震災では宮城県名取市にて、避難指定先となっていた公民館へと避難した人々が、建物の高さ不足から500m先の中学校へ移動する指示を受けた時に、大勢が自動車で移動しようとしたとの事です。
元から避難には自動車を持ちなければ難しいとされていた土地だった為、車に乗り込んだ人は多かったのでしょう。
そして、不幸な事に中学校への道中は普段から渋滞し易い交差点へと続いていました。
加えて地震の影響で交差点が面する橋で事故が起こり瞬く間に渋滞が発生、結果として約600人もの方々が津波に飲み込まれるという悲しい結果を招く事となりました。
誰もが自動車で避難したいという気持ちは分かりますが、全ての人が車で避難すると渋滞に繋がり、避難活動が滞ったり緊急車両が到着できなくなるため、徒歩による避難が推奨されています。
もし、あなたのご家族で歩いての避難が困難な方が居ましたら、普段から市役所などに相談を持ち掛けておくと良いでしょう。
地域が一丸となって、全員が災害を乗り越えていけるようにしたいですね。
まとめ
・高齢者の避難先は出来るだけ最寄りの場所を探しておこう
・自動車を用いたい場合は地域の取り決めを調べ、役所などに相談しよう
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参考サイト
◆参考資料6 東日本大震災と阪神・淡路大震災における死者数(年齢階層別・男女別) 内閣府防災ページ
◆岩手県陸前高田市東日本大震災検証報告書
◆東日本大震災:惨事招いた大渋滞 宮城県名取市閖上地区 新建築家技術者集団