「人が倒れた時やけがをした時、すぐに手当てを行う」というと、とても難しいことのように感じるかもしれません。医療資格を持っている人ならばともかく、そうでない人の場合は、「専門的な知識もないし」「もし間違ったことをやってしまったら、逆にその人の命を危険にさらしてしまいそう」と思うかもしれません。
しかし、「応急処置」をすることは、目の前の人の命を救うことに繋がるのです。
家族を救うために、応急処置の意味と救命の連鎖の大切な理由を調べました。
応急処置をすぐにすることで、助かる確率は2倍以上に
目の前にいる人が、呼吸と心臓が止まって倒れてしまったとしましょう。この場合、多くの人はすぐに救急車を呼ぶのではないでしょうか。
もちろんこれも非常に正しい選択です。しかし、「1人が救急車を呼び、1人(もしくはそれ以上の人数)が応急処置をすることで、倒れた人の生存確率は飛躍的に跳ね上がります。
救急車が来るまでの3分間、まったく応急処置をしなかった場合、その人が助かる確率は20パーセントをわずかに超える程度です。
しかし応急処置をした場合、その人の生存確率は50パーセントを越えます。また、22分間の間何もしなかった場合、生存はほぼ絶望的になりますが、応急処置をしていれば、10パーセント以下ではあるものの、助かる確率が残されています。
このように、その場ですぐに処置をすることは、「人の生命そのものを左右する」という重大な意味があるのです。
「チェーン・オブ・サバイバル」救命の連鎖とは
救命の考え方に、「チェーン・オブ・サバイバル」というものがあります。これは、「救命の連鎖」という意味です。
心臓の病気の場合は、「心停止になるリスク要因をそもそも省くこと(予防)」「心停止が起きてしまった際、すぐにそれと気づいて助けを求めること(通報)」「その場に居合わせた人が、心臓組成とAEDを使用して処置をすること(早期の処置)」「その後、救急車や病院のなかで治療をすること(専門的な治療)」があるとされており、これが輪っかのようにつながっています。どれかがちぎれてしまうと、この「連鎖」が途切れてしまうため、命が助かりにくくなります。
「目の前の人が倒れた、すぐに処置をしよう」と行動することは、「病院での治療」につなげられます。
平成27年の情報によれば、人目があるところで心停止で倒れた人のうちの41.2パーセントが、居合わせた人によって応急手当を受けています。
これを「多い」と感じるか「少ない」と感じるかは人それぞれではありますが、応急手当を受けた人は、1か月の生存率が16.2パーセントであるのに対し、まったく処置がされなかった人の生存率はわずか4.8パーセントです。
AEDの使い方
救命の連鎖を行う為には、人の力による応急処置だけでなく、AED(自動除細動器)を用いるかどうかも救命率に関わってきます。
それでは、ここからは具体的なAEDの使い方について見ていきましょう。AEDは大変有用な道具ですが、使い方を知って初めて意味が出るものでもあります。
AEDを使う前には、まずは意識を確認しましょう。この時点で、あきらかに異常だと思われる場合は、周りの人に救急車の手配とAEDを持ってきてくれるように頼みましょう。
応援を呼んだら呼吸しているかどうか確認します。もしも呼吸が止まっていて、脈拍も確認出来なければ胸骨圧迫による心肺蘇生法をしながら、AEDの到着を待ちます。
AEDが到着したら、速やかに電源を入れます。その後の行動はAEDが音声で案内してくれるので指示に従いましょう。「パッドの貼り付け」はパッド自体に描かれているように素肌に直接貼り付けます。心電図をAEDが確認し電気ショックが必要であればアナウンスが掛かるので「ショックボタンの稼働」をします。ショックボタンを押すときは、周りの人間に呼びかけ、対象者には触らせないようにしてください。
AEDを使う時に注意しなければいけないのは、心電図を確認する時と電気ショックをする時以外は心肺蘇生法を中断してはいけないという事です。
たとえ100パーセント完璧にできなかったとしても、「早く処置をすることには意味がある」「AEDがある」ということを知っておくだけで、あなたの手は「人を救える手」に近づきます。
まとめ
・早く処置をすることで、生存率は2倍以上に上がる
・早く処置をされた人は、1か月の生存率が3倍以上になる
・AEDの音声案内に従う