災害時に困るのが、「人との連絡がつかない」「家族に電話がつながらない」などです。家族の安否を気遣う人にとっては、これはとても困るものでしょう。
災害対策を調べていくなかで、「災害時優先電話」という単語に行きついた人もいるかもしれません。「連絡を録音できる」「災害時の安否確認を優先してできるようになっている」と考えられがちなこの電話について、正しい知識を見ていきましょう。
災害時優先電話とはどんなものか
災害時優先電話とは、災害時のときに優先される電話回線のことを言います。これは「発信」のときだけで、「着信」のときには反映されません。
電話が多くなった場合、そこには「通信制限」がかけられます。しかしながらこの電話の場合、このような通信制限がかけられません。そのため、ほかの電話よりもずっとつながりやすくなります。これを使うことで、防災機関に対して、優先的に電話がかけられるようになるのです。
ただこれは、あくまで「かけられる」というだけの話。相手がとるかはわかりません。
誤解していない? この電話は一般人には使えません
しばしば誤解されるのが、「災害時優先電話は一般人も使える」ということ。これは実は間違った認識です。
これを使うことができるのは、電気やガス、水道といったライフラインに関わる会社や、消防機関や災害に関わる機関、マスメディアなどです。これらの、ごく限られた範囲の業種が、ライフラインの維持や災害対策、災害状況の確認と流布のために、優先的に電話を使うことができるのです。
「個人が自分自身の家族に連絡をとりたい」という場合や、「家族の安否を病院に問い合わせる」という用途では使うことができないので注意が必要です。
個人が使えるのは「災害伝言ダイヤル」
災害時優先電話は一般人には使えませんが、「災害伝言ダイヤル」は使うことができます。これは「171」でかけることができるものであり、災害時優先電話と同じく、NTTが管轄しています。
災害伝言ダイヤルを使うと、「録音」もしくは「再生」を選ぶことができます。
録音をする場合は、ガイダンスに従い「録音」を選び、自分の電話番号を入れてメッセージを残します。再生を選ぶ場合は「再生」を選び、同様に、相手の電話番号を入れてください。
録音を選べばそのまま自分の安否状況を録音することができます。逆に、再生を選んだ場合、該当の電話番号が録音されていれば、その録音が伝えられます。
この災害伝言ダイヤルは、1回で録音できる時間は30秒程度です。伝言が残せる回数は1回~20回と開きがありますが、いずれにせよ、それほど長いメッセージを残せるものではありません。ただ、「自分は無事で、○○という避難所にいる」などのような短いメッセージを残すことは十分に可能です。この電話を使うことで、周囲の人に安否を告げたり、周囲の人の安否を確認したりすることができます。
災害伝言ダイヤルは、災害が起きて安否確認の電話が増え始めたことを確認した段階で、NTTがサービスを開始しはじめます。これにかかる料金は無料で、公衆電話や携帯電話からも利用が可能です。※伝言の録音と伝言再生時には通話料が発生するので注意して下さい。
災害伝言ダイヤルは、災害時優先電話とはまったく異なるものです。「相手と話せること」を確約するものではなく、お互いが「171」を知っており、それを利用することを思い出せるという条件下でなければ利用できませんので、防災対策の一つとして、家族みんなで共有しておきたい情報だと言えるでしょう。「防仁学」(災害用伝言ダイヤル171、あなたは使えますか?)
(災害用伝言ダイヤルデビューしませんか? お正月は最高のタイミングです!)
まとめ
・災害時優先電話は、通信制限を受けずに発信ができる
・ただし使えることのできる期間は限られている
・一般の人は、「災害伝言ダイヤル」を利用するとよい
参考サイト
◆総務省「災害時有線通信」
◆NTTグループ「防災機関の方」
◆NTT西日本「ご利用方法」
◆NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171)の基本操作方法」