東日本大震災から5年経った2016年3月に東京都は防災プランの最新進捗レポートを発表しました。
首都直下型地震や津波、集中豪雨被害などの災害が考えられているなかで、東京都はどの様な防災プランを練っていて、これからの防災対策はどの様な点が重要になっていくかを考えてみました。
東京の防災プランで紹介されている内容
地震を中心に対応を進める
東京都では都内を大きく2つの区域に分けて防災対策を進めています。
1つは都内23区と多摩地域の関東平野に存在する地域。
もう1つは東京都に含まれる島しょ部に於ける防災です。
地域とは別に地震と風水害という2種類のシナリオが考えられており、2020年までに公助として備えるべき取り組みについて書かれています。
例えば都心部に於ける地震対策は下記の様な内容です。
①建物の耐震性強化
マンションの耐震工事や木造建築の建て替え支援、家具類の転倒落下防止対策の推奨を進める事で、震災時に起こる建物の倒壊や屋内のケガを最小限に留めようという取り組みです。
学校などの公共施設の耐震化も進められています。
②住民による救出活動の普及
これまで防災マニュアル「東京防災」の配布により個々の防災に対する備えを向上する試みが行われて来ましたが、今後は地域での防災交流会や住民参加型の訓練によって、災害時に自ら対応出来る能力向上に努めています。
応急救護講習もその一環です。
③出火・延焼の抑制
震災が発生した場合は火災による被害の拡大が心配されますが、東京都では消防団による初期消火能力の向上と消防水利という消火に用いられる水資源の確保に努めてきました。
新たな対策としては燃え広がる場所を減らす為に木造建築の建て替えや広場を設ける事により炎が燃え移る場所を減らす試みが行われます。
④安全で迅速な避難の実現
災害時スムーズに避難所へ住民が避難する為に道路等の避難経路の整備が行われます。
高齢者や障がい者といった配慮と支援が必要な方々に対しても地域が一丸となって協力出来る体制作りの取り込みが行われています。
⑤正確な情報の発信
国との情報連携体制を強化すると共に、外国人を含めた都内の人々へ正確な情報を発信できる様に、インターナショナルなどで情報を発信します。
情報収集には各所にある防災関連設備の強化も進められています。
⑥帰宅困難者の支援
都内で勤めている人々が安全に自宅へ帰れる様に、一時滞在施設の確保を行い大勢が一斉に帰宅して混乱が起こらない様に対策を進めています。
ただ滞在するだけでも、多くのインフラが必要とされるので滞在施設の電源確保や施設運営方法のガイダンスなど安全に帰宅出来る様にする取り組みが行われています。
⑦避難所の適切な開設・運営
東京都で大規模な地震が発生した場合、何万人もの人々が助けを求めて避難生活をする事になると考えられています。
大勢の人が避難する事を考え、水道等のインフラを強化すると共に避難所の耐震化も進められています。
避難生活で体調を崩す事例も多い為、備蓄薬品を確保するなどの生活衛生や、ペットとの避難方法に関しても模索されています。
⑧避難中の生活物資の確保
避難生活中3日間はそれぞれの持つ生活物資で暮らす事が必要になるとされています。
救援が届くまでの間生活出来るだけの物資をそれぞれが蓄える様にしつつ、公的機関でも防災用品の備蓄や自立型非常電源の確保を行うなどして生活を支援する体制の確立に努めています。
既に進んでいる取り組みとしては水道の耐震化による飲み水の確保と給水ステーションの整備が行われています。
⑨公助による救出活動と早期の生活再建
警視庁や東京消防庁、自衛隊などの各防災関連機関が協力して迅速な救出活動が行える様に防災公園などの拠点となる広場が整備されています。
そして、地震が収まったのちに迅速な復旧を行う為に、緊急輸送ルートの確保が行われており、インフラの耐震化により最小限の被害に抑える事で、早急に都民が生活に戻れる様に計画が進められています。
地震対策から見る将来の対策
被害を最小に留める事が復興に繋がる
東京都が現在行っている地震対策を紹介しましたが、全般に共通して言える事は「被害を最小限に留める事」です。
出来るだけ地震による被害が起こらない様に、耐震工事や古い建物の建て替えを行うと共に、万が一被害が出ても二次災害が広がらない様に配慮され、被災者も迅速に救助される様に考慮されています。
災害による被害が少ないという事は、それだけ日常生活に早く戻れるので経済的な被害を軽減する事にも繋がります。
避難生活も最小限となる様にする事で、出来るだけ都内で解決できる様にされているのも特徴です。
今後日本で行われる防災対策は、如何にして災害による直接的な被害を軽くし、人の移動を最小限としつつ復興に掛ける時間を短くする事が出来るかという点になると考えられます。
今後も新しい防災対策に注目しつつ、安心安全な生活を実現していきましょう。
まとめ
・東京の防災プラン2016ではこれから行われる防災の取り組みが紹介されている。
・今後は人が生活出来る程度に被害を最小限に食い止める防災が中心となる。