2011年に発生した東日本大震災では津波火災を起こした原因として自動車からの出火が注目されています。
一方で、2016年の熊本地震では自動車で寝泊まりする被災者が相当数おり、行政も正確な数を把握できない状態になりました。
車中泊で心配される問題も車両火災になります。特に冬季は寒さを凌ぐ為にコンロなどの調理器具を車内で使ってしまうといった危ないケースも考えられるからです。
今回は、自動車火災の問題点と対策方法に関して調べてみました。
自動車火災の原因
機械的火災と人為的火災
自動車事故を想像する時に、衝突した車両が爆発炎上するというイメージを思い描く事があります。
実際には、漏れ出た燃料などにスパークした電源や衝突時の火花によって着火しない限り、火災が起こる可能性も比較的低いのが現在の自動車です。
それでも、東日本大震災では津波に巻き込まれた車から炎が出て、広域を焼き尽くす津波火災の一因となりました。
この時、出火原因となったのはオルタネーター(発電機)であったと考えられています。
NHKの取材の下、名古屋市消防局で行われた実験では、オルタネーターが海水に浸かった時に接続されているバッテリーから電気が流れ、海水から水素が作られます。
そしてクラクションといった通電する機器から放たれる火花によって水素が引火、爆発を引き起こす為、漏れ出た燃料や座席シートといった可燃物に火が点くのです。
これは機械的な要因で起こる自動車火災と呼べます。
より、単純な機械的火災としては配線がしっかり差し込めてない事で電子機器がショートしてしまう事で起こる火災があります。
一方で、人為的要因により引き起こされる自動車火災にはどの様なものがあるでしょうか。
代表的なものとしてはダッシュボードに置いた水をいれたペットボトルを通して光が一点に集中し、座席などに火を点けるというものがあります。
より単純な例では車内に置いていたライターが直射日光で加熱されて発火する場合や車内で簡易ガスコンロなどの調理器具を使い火災に繋がるといったケースがあります。
特に避難時に車中泊をする場合、暖を取る為にエンジンを点けた状態のままにしてしまい、無意識のうちにアクセルを踏んでしまった事による過負荷による火災や一酸化炭素中毒といった危険性があります。
これらは車内に泊まる方が意識して防ぐ事が出来る要因なので、避けられるよう努力しましょう。
火災を防ぐ方法
エンジンは停止させる
これらの火災を防ぐ為に有効な方法は、原因を出来る限り潰していく事です。
海水が入る事で起こるオルタネーターの火災に対処するのは難しいですが、機械のショートで起こる火災は普段から配線の確認を行う事により予防することが出来ます。
人為的要因による火災はより単純です。
まず、最も優先して行うべき解決策は車中泊を行う間はエンジンを点けない事です。
極寒の地域では暖房をどうしても用いる必要があるかと思いますが、就寝時は毛布などを最大限に用いて防寒処置をするようにして、暖房をあまり頼らない様にしてください。
一酸化炭素中毒の危険性も高く命の危険へと直結するからです。
エンジンを点けなければ燃料を節約する事にも繋がり、いざという時に燃料切れという状況を回避する事にも繋がります。
どうしても寒い場合は、扉の隙間などに詰め物をすると緩和されます。
窓に覆いを被せる事で、車内への直射日光による加熱を防ぎながら、断熱にもなるので活用するとよいでしょう。
車内での火気の使用は言うまでもなく危険なので、絶対にやめましょう。
災害時は消防も救助活動に専念したり、消防車が被災してしまい使えないといった事態が起こります。
ひとたび火災が起これば、消し止める事が出来ないまま被害が拡大する事も考えられるのです。
火災による2次災害を招かないように、注意していきましょう。
まとめ
・自動車による火災は機械的火災と人為的火災に原因が分けられる。
・火災の発生を抑える為には、エンジンを点けないといった配慮が必要。
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参考サイト
◆車両火災の原因は? > クルマ何でも質問箱 一般社団法人日本自動車連盟JAF
◆津波火災 知られざる脅威 クローズアップ現代 NHK
◆自動車火災における自動車の燃焼性状 2006予防時報227 一般社団法人日本損害保険協会