8月も終わり、そろそろ肌に触る風も涼しく感じてきますね。
行楽のシーズンの訪れとともに秋の山へ登山に出掛ける事を計画している人もいるのではないでしょうか?
秋の山々が見せる景色は彩も鮮やかで見る人を楽しませてくれます。
しかし、登山に於ける遭難事故の危険は季節を問わず存在するのです。
秋の山に潜む危険をピックアップしてみました。
気象に注意!
山の天気は移り変わり易い
台風が日本列島を多く通過する季節となり、大丈夫だろうと油断していると天候が急変する事があります。
実際には台風の接近により気圧配置が悪くなり離れた場所でも悪天候になる場合があります。
1989年10月8日から9日の間に発生した富山県にある飛騨山脈立山へ集団登山した中高年の団体が遭難して10名中8名が亡くなる事件となりました。
立山は氷河が存在する日本でも珍しい山で、近くには映画にもなり有名な剱岳(つるぎだけ)が存在します。
立山は標高3000m級の山としては比較的登りやすい山とされていますが、事件が発生したとき小田原沖に存在した台風25号の影響で立山上空の気象が冬型の気圧配置となり中国大陸からも寒冷な空気が来ていた為、吹雪となるほど天候が悪化しています。
しかし、登山メンバーは登る事を辞めなかった為、体調不良で動けなくなる人が出た時には下山出来る状態ではなくなり、吹雪で道も分からないまま低体温症により亡くなってしまったのです。
服装に注意!
秋の山でも地表と比べると格段に寒い
立山での遭難事件で助かった人は、体力が残っていたので救助を要請する為に別行動をした人達でした。
彼らの服装はしっかりとした登山靴を履いて防寒用の手袋や登山用の雨具を持っていました。
一方で亡くなったメンバー達はハイキングに行くような恰好で雨具もビニール製の簡単な物だったとの事です。
山に登ると標高100mごとに0.6℃気温が下がると言われていて、風や雪の影響を含めると体感気温は更に低く感じます。
まだ平地は暖かいからと油断をせずに登山の時はしっかりとした防寒対策を整えてから行くようにしましょう。
無理な計画を組まない!
中止する事も視野に入れて登山計画を組もう
立山集団遭難事件で登山を企画していたメンバーは、経験者を中心に組まれていましたが緊急時の予定が組まれていたのか疑問があります。
組まれていた日程では朝8時ころにバスで登る事が出来る室堂(むろどう。標高2450m)から出発して立山で一番高い雄山(おやま)へ登り立山を構成する連峰を超えて隣の別山(べつやま)で宿泊、翌日は日本で特に危険な登山ルートが存在する剱岳に登るメンバーと周囲を散策する者に分かれて行動して立山よりの山荘で一泊して下山ルートを戻るという予定でした。
しかしメンバーは中高年で構成され、経験者がいるものの標高3000m級の山を抜けてから剱岳に挑むというルート構成が体力的に問題なかったのか考える必要があります。
そして、一番疑問点として大きいのが悪天候時の計画が組まれていなかったのか? という事です。
10月8日朝8時45分に室堂を出発した段階で天気は崩れており、体調が悪くなる人が出る事を予想してルートの変更や登山の中止を考えるべきでした。
他の登山客は登れているからと無理な予定を組むと遭難する確率が非常に高まるので、登山を予定する時には迂回ルートを調べておき、途中休める場所も探しておくようにしましょう。
万全の準備を整えておけば秋の景色を楽しみつつ、安心して登山を楽しむことが出来るのです。
まとめ
・登山の時は必ず天気をチェックする!
・暖かく感じても山の上は寒いので、しっかり防寒対策をする!
・緊急事態に備えて迂回ルートや休める場所を調べておく!
・危険な日程の組み方をしない!