住宅街を歩いていると、人が住んでいない様に見える一軒家やアパートを見かける事はありませんか?
都市部への人口過密化と地方の過疎化が進む今、「空き家」の処置をどの様にするかが問題となっています。
総務省が行った2014年の調査では全国に約820万戸もの空き家が存在し、日本に存在する住宅のうち過去最高の13.5%以上を占めています。
つまり、日本の住宅は8件に1件以上が空き家なのです。
東京オリンピックが終わった後になる17年後には2000万戸以上にまで空き家が増えると言われていて、本格的な空き家対策が求められています。
2015年5月に施行された「空き家対策特別処置法」により倒壊のおそれがある空き家は強制的に取り壊し、所有者を自治体が固定資産税の情報から探しだして処置を求める事が出来る様になりました。
固定資産税を6倍まで増額するといった強硬処置も可能です。
それでも空き家の解消は相続権の問題などから解決が進んでいませんが、放置しておくと災害時に大きな問題を招きます。
防災・防犯面から空き家問題を詳しく調べてみました。
空き家の脆弱性
地震や火災に弱い
空き家となっている建物は築何十年という古い物件が大半を占めています。
長期間建っているという事は、その間様々な気象や災害に耐えてきたという事でもありますが、手入れがされていなければどんなに頑丈だった建物でも次第にもろくなっていきます。
たとえば、表面のコンクリートが剥がれて鉄筋がむき出しになっていたり、木材が朽ちて崩れそうになったりします。
本来は住人が修繕工事を行うか建て替えをしてしまうのですが、所有者が亡くなり相続する人がいない場合などは工事を行う事が出来ず、放置するしかない状況が頻発しています。
法律の制度上、親族に所有権を強制的に相続させる事も出来ないので「空き家対策特別処置法」が施行されるまでは行政からは対策が十分に出来ない状況でした。
長い間誰も手をかけていない空き家は、地震が来れば倒壊して周囲の建物を巻き込む可能性があり、火災が起きれば消し止める人がいないので盛大に燃え上がり、災害の被害を大きくする要因となってしまいます。
防犯面でも犯罪者が勝手に住み着くなどの例があり、空き家は地域にとって危険な存在です。
空き家への対策方法
関係者なら親族に相談、他は自治体の窓口へ
空き家を放置していると、万が一災害が発生した際に被害が拡大した原因として民事訴訟を起こされる可能性があります。
民法第717条には所有物を適切に管理する義務が明記されていて、たとえ空き家であっても相続権を通して訴訟の対象とされる可能性があります。
その為に、相続などがあった場合は親族でどの様な土地や建物を所有しているかを良く確認しておき、空き家があるならば取り壊すなどの処置を早急に取り決める必要があります。
取り壊す場合は100万円以上の出費になるケースが多いですが、火災等の被害を拡大させたとして損害賠償を請求された場合はそれ以上の金額を要求される事になりかねません。
2014年5月29日には東京都の空き家条例に則り強制的にアパートが解体され、所有者に解体費が請求される請求されるケースも起こっています。
自治体によっては空き家の解体に補助金が出るケースもあります。
行政による強制処置が行われる前に、地域のためにも積極的に解決するようにしましょう。
また、近所に空き家がある場合には役所などに相談するといった対策を行う必要があるでしょう。
空き家は災害時に被害を拡大する可能性と共に、犯罪者のたまり場となる可能性もあります。
防犯の面からも所有者には早急な対応をして貰える様に求めましょう。
しかし取り壊し費用もダダではありませんないですし、特別処置法による適用がなされるまでは所有者にとっては固定資産税が住宅地の場合は安くなるというメリットがある為、一朝一夕では解決できない問題です。
相続権を持つ人が税金の負担を恐れて連絡に応じない場合もあります。
空き家問題は解決するまでに長い時間が掛かるという認識を持って、相談しましょう。
空き家は防災・防犯面で危険であるだけでなく、景観も損ねる一因にもなります。
綺麗な街並みでオリンピックイヤーを迎える為にも、空き家問題と向かい合っていきましょう。
まとめ
- 今、空き家の増加が社会問題となっている。
- 空き家は災害時に火災や倒壊で被害を拡大させる可能性が高い。
- 空き家を故意に放置していると、行政により強制的に取り壊されたり罰則が加えられたりする可能性がある。
- 空き家を取り壊すのは金銭面で難しい話になりがちだが、地域ぐるみの早急な対処が必要。