2017年2月26日に埼玉県志木市中宗岡にある空き家から火災が発生し、周囲の空き家4棟と住宅1棟を全焼させ、他にも半焼1棟と火災による被害を周囲に及ぼしました。
昨今、空き家の増加が問題となりつつあります。
今回は空き家に潜む危険性と、対応策に関してまとめてみました。
どうして空き家が増えるのか
家主の所在が分からない
総務省統計局が行った平成25年の住宅・土地統計調査によると、空き家件数は全国で820万戸に及びます。
これは5年前に行われた調査と比較して63万戸増えており、6063万戸あるとされる総住宅数の13.5%に該当します。
これは、東日本大震災などの災害によって、それまでの住居から移る必要に迫られた方も含まれていますが、同時に高齢社会が進み家主が家を処分する前に亡くなられるケースが増えている事も関係します。
必ずしも家屋を遺族が相続するとは限らず、また行政に転居などの申請が行われていない場合もあるため、家主不明となっている空き家が多くあるのです。
また、空き家を取り壊す資金がない場合や、更地として土地を保有するより住居を構えて保有した方が税金も安くなるといった理由で放置されている事例もあります。
その為、今後も空き家は増え続ける事が予想されています。
空き家に潜む危険
犯罪の温床となる
埼玉で起きた空き家火災では、人が住んでいないのに電気が通っている家もあったとの事です。
電気が直接火災の原因となったかは分かりませんが、誰もいないのに電気が使える場所があれば、悪い考えを持つ人が利用する可能性を捨てきる事は出来ないでしょう。
火災のリスクもありますが、組織的な犯罪の拠点として利用される危険性もあります。
また、住人がいないので火災といったトラブルに対する認知が遅れ、周囲に大きな被害を及ぼす危険性もあります。
地震といった災害時には耐久性が衰えた空き家が倒壊し、被害を拡大したり、救難活動を妨げるといった弊害が考えられています。
他にも野生動物が住み着く事により、伝染病などの衛生上の問題を招くケースや不法投棄ゴミの捨て場となるといった問題もあります。
解決策
行政による強制処置の可能性
空き家問題に対しては地域として家主と相談しつつ、解体だけでなく地域の交流場所として活用するといった発展的な解決方法が考えられます。
地域の自治体に相談するなどして、家主とコンタクトを取って貰えるように頼んでみると良いでしょう。
しかし、相談相手が見つからない場合は行政による強制的な対処も考える必要があるでしょう。
平成26年11月27日に交付され翌年2月26日より施行されている「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、倒壊や保安上の恐れがある場合や衛生上問題がある場合、周囲の居住環境に悪影響があり著しく景観を損なう空き家に関しては、「特定空家等」に指定され、立ち入り検査などを行い必要とあれば勧告・命令を行ったうえで強制的に取り壊しを行う事も出来るようになりました。
取り壊しの経費に関しては、家主に請求されます。
空き家の家主に対して自治体から解体助成金が出る場合もあるので、管理出来ない空き家があるのであれば、勧告が来る前にしっかりと解体して土地を売却する事も選択肢にいれる必要があるでしょう。
行政は空き家に関する情報を調べる事が特別処置法で出来るようになったので、空き家を放置していると、親族へと連絡が行く事になります。
まとめ
・空き家はこれからますます増えていくと考えられている
・空き家があると災害や犯罪の温床となる事が考えられる
・家主と地域が話し合い、地域で役に立つ交流場所などに利用するのが理想的解決策
参考サイト
◆平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約 総務省統計局
◆空き家相談Q&A あいち空き家管理・活用情報 愛知県庁