災害は何時起こってもおかしくありません。
例え深夜であっても、視界が真っ暗になるほどの嵐の中でも地震の様な大規模災害が起こる可能性はあり、その様な状況においても避難したり、救助活動をする必要があります。
そこで、今回は世界で使われる暗視装置の中でも最新の第4世代と呼ばれるものをVR体験してきたのでご紹介致します。
暗視装置とはどんなもの?
光を増幅させるものや赤外線を用いるものがある。
一般的に暗視カメラとして流通しているのは、赤外線ライトを用いて対象を照らし出すというカメラです。
しかし、赤外線ライトが届かない範囲のものを見る事は出来ませんし、軍隊の様に見つかりたくないという人が使う場合は、相手も赤外線カメラを持っていると簡単に見つかってしまい不便です。
もう一つの暗視カメラの方式として使われるのは、光幅倍増方式と呼ばれるものでスターライトスコープやノクトビジョンゴーグルと呼ばれる事があります。
これは微弱な光を機械的に増幅してあげる事で、暗闇でも視界を確保出来るというものです。
欠点としては完全に光がない環境では全く見えなくなってしまう事ですが、洞窟の中に入るといった事をしない限りは充分な視界を確保出来ますし、普通の環境であれば星灯り程度の弱い灯りで広い視野を得る事が出来るので、困る事はないでしょう。
フォトニス社の最新暗視装置
最新の第4世代暗視装置の実力を体験!
今回編集部員は、デルフトハイテック株式会社のご協力で最新の第4世代暗視装置の実力を今流行りのVR装置で体験してきました。
Photonis(フォトニス)社はフランスを中心にアメリカとドイツ、シンガポールに拠点を置いている会社ですが、非常に小型で高性能な暗視装置を製造しています。
今回は4Gと呼ばれる暗視装置ユニットを用いたゴーグルを使ったらどの様に見えるのかという事を体験しました。
VR用のゴーグルをつけると目の前に仮想の机が置かれていて、そこにある暗視ゴーグルを装着します。
すると真っ暗な草原地帯に仮想世界が移るので、まずは周りを見渡してみます。
月明りと足元の草、遠方に見える灯り以外は全く見る事が出来ません。
次に景色とは別に表示されているコンソールから第3世代の暗視装置を選択してみます。
すると映画で見るような緑色の世界に切り替わり、近くに道路と幾つかの建物がある事が分かります。
そこで何かが動いている様ですが、はっきりとは捉えられません。自衛隊に居た頃に私も扱った事がありますが、慣れるまで非常に行動し辛い環境です。
そこで、第4世代の暗視装置にコンソールから切り替えます。暗視する景色の色も複数から選べたので白にしてみました。
すると一気に視界が開けるではないですか!
遠くに見えた幾つかの灯りは近くにある村の小さな灯りで、建物も中東らしい村である事が分かります。
村の通りには武装した男が歩き、建物の屋上にも別の男が姿を見せている事が分かります。
近くを通る道路では時々車が通りますが、逆光になっても車を視認する事が出来ました。
今までの暗視装置では光によって視界が真っ白になっていた事でしょう。
災害の現場では真っ暗闇の中で作業しつつ、時折飛んでくるマスコミのヘリによる灯りやそれぞれが持つ懐中電灯の明かりで、暗闇になれた視覚が明るさに眩んでしまう事も多々あります。
常に現場全体を照らせれば問題は起こらないのですが、その様には出来ないので個人で暗闇を見通せるシステムは今後の災害対策で重要な役割を果たしていくでしょう。
昨年8月に大きな被害を残した台風10号は夜間に岩手県大船渡市を上陸しており消防や自治体は夜間の対策を余儀なくされました。
2014年8月に発生した広島県土砂災害も夜間大雨の中、避難誘導が必要となり、暗闇でも行動出来る手段の必要性が求められました。
24時間対応出来る様に公的な機関には備えていて欲しいですよね。
まとめ
・暗視装置には赤外線ライトで照らすタイプと光を増幅させるものがある。
・最新の第4世代暗視装置は文字通り夜を昼に変えてしまう程の能力がある。