「飲めないなんて男じゃない」
「最初の1杯くらい飲まないと」
「一気飲みもできないなんて場がしらける」
このような言葉は、人生で一度や二度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
時に命をも危機にさらしてしまう「アルコールハラスメント(alcohol harassment、以下「アルハラ」)について見ていきましょう。
アルハラとはいったい何か
アルハラとは、ごく簡単に言えば、飲酒に関連したいやがらせを指します。
もっとも分かりやすいのが、「飲めない人にお酒をしつこく勧める」というものでしょう。
「どれくらいアルコールを飲めるか」というのは、人それぞれ違います。まったく飲めない人もいますし、アレルギーを持っている人、妊娠中の人、体調がすぐれない人、特定のアルコールを飲むと吐いてしまう人など、実にさまざまです。
このような人に無理やりアルコールを勧めるのは、アルハラにあたります。
加えて「一気コール」などもあります。
そもそも新入社員とはいえ社会人なのですから、いくら場が楽しくてもこれらの危険な行動はすべきではありません。しかしさらに問題なのは、新入社員が逆らえないことをいいことに、一気飲みを強要する上司がいることです。
また、飲めない人間や飲むことをやめた人間に暴言を吐くなどの行為も、アルハラと認定されます。
加えて、アルハラはしばしばセクハラともセットになります。
アルハラの危険性
アルハラは、あらゆるハラスメントのなかでも、「命の危険」と直結しているという意味でとても恐ろしいものです。
一気飲みが原因となって起こることのある「急性アルコール中毒」は、場合によっては死を招くものです。東京都だけでも15000人を超える人が、この急性アルコール中毒で搬送されています。
体内のアルコール濃度が急激に高まることで嘔吐してその吐しゃ物が喉に詰まったり、呼吸が抑制されたりすることで、意識を失ったり死亡したりします。そして、この急性アルコール中毒のり患者のうちの約40パーセント近くが、大学生や新入社員が集中している20代です。
アルハラがいかに危険なものかが分かるでしょう。新入社員の立場ではなかなか難しいかもしれませんが、命がかかっていることです。毅然と断る勇気を持ちましょう。
まとめ
・アルハラとは、飲酒にまつわるハラスメントである
・セクハラなどともセットになりやすい
・一気飲みの強制による急性アルコール中毒で、人の命を奪うこともある