我が国は高齢化社会に突入し平均寿命は男女ともに年々延びています。
平均寿命の延びにともない認知症患者も増加しています。
近い将来、認知症患者はさらに増えると予想されています。
高齢化社会は老々介護の問題など課題は山積みです。
認知症患者だけではなく介護者も含めた人たちが、何かしらの認知症問題に直面することになってきます。
認知症は単なるもの忘れではない

認知症は病気によって起こる症状や状態の総称を示しています。
時に病名として使われることもありますが、認知症は「状態像」を意味します。
老化によるもの忘れと認知症はまったく異なってきます。
人間は年齢を重ねていくと記憶力が低下したり、人の名前を思い出せなかったりしますが、こうしたもの忘れは脳の老化によるものです。
しかし、認知症は老化によるもの忘れではありません。
認知症は脳の神経細胞が壊れてしまい、その結果さまざまな症状が出現してしまうのです。
アルツハイマー型認知症の原因
三大認知症の一つであるアルツハイマー型認知症は認知症の半数を占めています。
何らかの形で正常なタンパク質が変異して、脳内に蓄積し神経細胞が破壊されてきます。
結果、脳が萎縮してしまい、記憶の指令を出している海馬を中心に脳全体の萎縮が進行してしまうのです。
認知症の原因は未知の部分もあり解明できていないところも多く、これからの医学の発展に期待をしているところでもあります。
主な症状
医学的に症状を説明すると、実に複雑でとても分かりずらいため、ここではメインとなる中核症状を中心にご紹介していきます。
※中核症状とは脳の萎縮に伴い直接起こる症状
・記憶障害
短期記憶とよばれる今体験したことをすぐに忘れてしまうことが多々あります。
今、食事をしたことを忘れてしまい、何度も食事を催促してしまうこともあります。
しかし、認知症の方はなぜか遠い昔のことは実にはっきりと覚えています。
これが長期記憶とよばれるもので、自分が小さい頃の思い出や戦争体験など、長期記憶のエピソードは鮮明に保たれています。
・見当識障害
記憶障害と並んで早期から出現してきます。
時間、場所、人物などが分からなくなってきます。
現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど、基本的な状況を把握することが困難になってきます。
・理解・判断力の障害
物事を考えたり判断する能力が低下してきます。
真夏でも厚手のセーターを着ていたり、寒くても薄着のまま外出してしまうことがあります。
・実行機能障害
認知症が進行してくると、計画を立てたり段取りをすることが難しくなってきます。
健康な人は予想外のことが起きても適切に対処することができますが、認知症の人はイレギュラーな対応が難しくなってしまうのです。
認知症の方への対応ポイント8選

あなたの大切な家族が認知症になったら、介護で役立つポイントを以下に記します。
①トーンは低く!
会話をする際は、できるだけゆっくりはっきりした口調を心がける。
短い言葉で具体例を出すと分かりやすい。
②呼名の際は「さん」を付けると効果あり
認知症になっても意識は保たれています。
普段から呼ばれ慣れている名前や「さん」付けで対応する。
③状況に応じて同じ言葉を連呼する
同じことをいわれても初めてのつもりで同調する。
④傾聴する姿勢
⑤話を聴くときは微笑んだり、うなづきや相槌を入れたりする
否定することは厳禁です。
同じことをいわれても認知症の人にとっては現実に起きていることなのです。
⑥タッチセラピーやタクティールケアを活用する
状況に応じて身体をさすったり、手をつないだりすることで、認知症の方に安心感を与えることができます。
⑦混乱しているときはさりげなく話題を変えていく
こちらは少し難しく感じるかもしれません。
直接対応してしまうと、認知症の方に余計な拍車をかけてしまう場合もあるため、まずは距離感をとっていきましょう。
イライラしている場合も同様です。
直接の対応は逆に混乱を招きますので、症状が少し落ち着いてからにしていきましょう。
⑧目線は認知症の方より低めにする
これは②でも説明したとおり、意識が保たれていることを考えれば当然のことですね。
アルツハイマー型認知症の特徴
画像上、海馬を中心に脳の萎縮を確認することができます。
初期症状はもの忘れです。
時間の経過とともにゆるやかに進行していきますが、萎縮した脳を元に戻すことはできません。
残念ながら病気自体を治療する薬はなく、治療は進行を遅らせるためのものになります。
もの忘れからはじまり、広範な障害へ進行してしまうアルツハイマー型認知症ですが、まだまだ解明できていない部分もたくさんあるのです。
まとめ
・高齢化社会に突入し認知症患者はさらに増加してくる
・認知症は症状や状態の総称を示す
・老化によるもの忘れと認知症はまったく異なる
・三大認知症の一つであるアルツハイマー型認知症は認知症の半数を占めている
・アルツハイマー型認知症は脳が萎縮する
・脳の萎縮に伴い直接起こるものが中核症状である
・介護で役立つポイント8選を上手く活用する
・アルツハイマー型認知症はもの忘れからはじまる
・治療は進行を抑えるためのもの