春は就職・転職シーズンでもあります。この春からオフィスビルに入っている会社でお勤めを始める方も多いのではないでしょうか。新しい勤務先に勤める時にチェックしておきたいのは、災害が発生した時の避難法です。特にビルでは火災によって命を落とすことがあります。今回はビル火災があった時の避難方法についてご紹介しますので、いざという時のためにチェックしておきましょう。
落ち着いて避難を開始する
ビル火災が起こった時、実際に煙や炎が見えないと火災発生を実感できないことがあります。ですが、煙の上昇速度は「上方向:毎秒3~5メートル」「横方向:毎秒0.3~0.8メートル」の速さで拡大していきます。悠長に構えているとあっという間に煙に飲み込まれてしまうでしょう。火災が発生した時は速やかに避難を開始することが、命を守ることに繋がります。
火災発生時には速やかな避難が求められますが、だからといって慌てたり騒いだりしてはいけません。パニック状態は転倒のリスクや煙をより多く吸い込むリスクを高めるからです。避難をする時は落ち着いて行動することを心がけましょう。
鼻と口をハンカチで覆い、低い姿勢で逃げる
火災が発生すると煙が発生しますよね。この煙は死につながる非常に危険なものです。煙の中には大量の一酸化炭素が含まれています。煙を吸い込むと一酸化炭素中毒に陥り、数分で死に至りします。総務省消防庁の資料を参照すると、平成21年~25年に火災で亡くなった方の約3割が一酸化炭素中毒であったことがわかります。これらのことから、火災から避難する時にはなるべく煙を吸わないようにすることが重要と言えるでしょう。
煙を吸わないようにするため、逃げる時は鼻や口をハンカチやタオルで覆いましょう。また煙は空気よりも軽いことから、上へ上へと上昇する性質があります。天井付近から順々に煙に覆われるので、逃げる時は姿勢を低くしましょう。煙で視界が遮られてしまった時は、壁や床などに手をつたわせながら這って逃げてください。
エレベーターは使わない
エレベーターを使って逃げると時間の短縮になると考えてしまいがちですが、ビル火災時はエレベーターを使用しないでください。火災の影響による停電でエレベーターが停止し、個室内に閉じ込められてしまう可能性があるからです。他にも自動制御装置が働いて誤って出火元の階に停止してしまうリスクも考えられます。いずれの場合も命の危険を伴うことから、ビル火災時はエレベーターを使用せず、非常階段を使って避難するようにしましょう。
日常的に非常口・避難経路を確認しておく
火災が発生すると日頃使用している設備や経路が使えなくなることから、非常口や避難経路を知っているかどうかが命を左右します。非常口や避難経路は災害が発生する前に、日常的に確認することが重要です。勤務先の非常口を日常的に確認する習慣をつけましょう。非常口や非常階段は1フロアに複数設置されていることがあります。一ヶ所のみ確認して安心するのではなく、必ず複数の非常口を確認しておきましょう。
火災はいつ起こるかわかりません。日頃から備えることが、いざという時に命を守ることにつながるのです。
まとめ
・ビル火災が発生した時は速やかに避難を開始する
・落ち着いて行動することは、怪我や煙を吸い込むリスクを下げる
・逃げる時は鼻と口をハンカチで覆い、低い姿勢を取る
・エレベーターは使わない
・日常的に非常口や避難経路を確認しておく