平成28年8月2日に行われた内閣総理大臣らによる閣議を受けて、平成28年度版「防衛白書」が発刊されました。
新しく自衛隊の国際平和維持活動への参加や北朝鮮の弾道ミサイル対策への取り組みが必要とされている中で、国の防衛に関して書かれた「防衛白書」はどの様な意味を持つのでしょうか?
防衛白書とは何かを調べました。
防衛白書の歴史
国の防衛を理解して貰うために誕生
「防衛白書」は防衛省が毎年発刊している公開資料で、防衛政策の基本理念について日本国民の理解を求めるために作成されるものです。
昭和45年に第1回が発刊され、昭和51年の第2回以降は毎年発行されています。
白書とは、中央省庁が編集する政府刊行物です。
政治経済社会の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼として発刊されます。
白書には種類が2つあります。
法律に基づき国会に提出した報告書を刊行するもの(法定白書:観光白書、防災白書、消費者白書等)と閣議の了承を得た後に公表されるもの(非法定白書:警察白書、防衛白書等)があり、正式書名又は通称に「白書」の名称を使用するものについては閣議による了承が必要とされています。
ちなみに白書とは別の資料に「政策評価」というものもあり、政府が行っている政策が国民のためにきちんと役立っているかどうか、政策の効果を把握・分析し、その結果を政策の見直しや新しい政策の企画・立案に役立てるために公表されています。
第1回目の「防衛白書」(書名「日本の防衛」の副題として)は、昭和45年当時の防衛庁長官であった中曽根康弘元首相の強い意向より刊行されました。
当時は旧軍隊のイメージもあって自衛隊に対する風当たりが強く、白書刊行には慎重な意見もある時代でした。
しかし、国の防衛には何よりも国民の理解と積極的な支持と協力が不可欠との信念により創刊されたのです。
防衛白書の書かれ方
近年は分かりやすい様に編集されている
最新版となる平成28年度版「防衛白書」は、A4判205ページのカラー写真や図表が豊富に使われ読みやすく装本されていますが、第1回昭和45年度版は、A5判94ページのこぢんまりとしたものでした。
このままでは分かる人にしか情報が読み取れないので、次第に防衛白書のページ数は増やされて現行の仕様になりました。
例えば、平成28年度版「防衛白書」の目次は、
- 平成28年度版防衛白書発刊によせて
- わが国を取り巻く安全保障環境
- わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟
- 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取り組み
に区分されてそれぞれ図を交えながら詳細に記載されています。
防衛省ホームページでも公開されており、本文に加えてコラム・図表・写真・資料集などが分かりやすく分割して掲載されており、語句検索をすることもできます。
それに対して、第1回「防衛白書」の目次は、
- 現代社会における防衛の意義
- 日本防衛のあり方
- 自衛隊の現状と諸問題
であり、文字と表が中心となっております。
加えて長官の挨拶や刊行の辞など部外向けの記述は掲載されていません。
この45年あまりの間、国際情勢は大きく変わり、国内の政治・社会も大きく様変わりしました。
「防衛白書」もその変化につれて大きく変貌しているのです。
次回も引き続き「防衛白書」の変遷を概観しつつ、わが国の防衛政策について分かりやすく解説したいと思います。
まとめ
- 防衛白書は昭和45年に国の防衛を理解して貰う為に誕生した。
- 現代は誰にでも分かり易い様に図解などを交えて作られている。