前回は安全保障会議の生い立ちと中期防衛計画の概要に関して説明しました。
今回は昭和63年に発刊された第14回目の防衛白書に関して紹介致します。
次期支援戦闘機の選定

この頃の出来事として航空自衛隊の「F-1支援戦闘機(対地・対艦攻撃もする戦闘機)の後継機(FS-X:Fighter Support -Experiment)」が紆余曲折を経て決定されました。
防衛庁はFS-Xの開発に先駆けて、T-2を改修した「CCV研究機」を用いて、フライバイワイヤーの研究を含め、「国内開発」の準備を進めていました。昭和60年に策定された「中期防衛力整備計画」に基づき、FS-Xについて「国内開発」、「現有機の転用」、「外国機の導入」の三つの選択肢の中から具体的な検討作業を進めました。その後米国から「共同開発」の提案があり、「国内開発」を「開発」に改め、昭和61年から技術的・専門的分野で検討を始めました。
昭和62年10月の「日米首脳会談」等により、わが国主導のもと日米の優れた技術を結集し、「日本の運用構想」、「地理的特性」などに適合するよう、F-15J又はF-16を改造開発することが決定されました。取得の確実性、費用対効果、インターオペラビリティーの確保などの見地から、F-16の改造開発計画案が最も適当であるとの結論を得たのは昭和63年11月です。
「国内開発」から「共同開発」に変更された背景には、当時の日米の貿易不均衡の問題や昭和57年から58年にかけて「東芝機械が、高性能スクリューを加工できる工作機械をソ連に不正輸出した」ことが昭和62年に判明した「東芝ココム規制違反事件」で悪化した米国の対日感情によって、防衛現場のニーズより政治的な判断があったと言われています。当初、「FS-Xで得られる技術情報は全て防衛庁に帰属する」とされていたものが、「米国の最新技術情報は開示せず」「日本の独自技術は米国に提供する」ように、大幅に譲歩する内容になっていきました。しかし、平成7年に初飛行した新支援戦闘機(F-2)は、日米間における「装備品・共同研究開発」として初めてのケースであり、日米の防衛協力を進展させるという観点から重要なものとなりました。
防衛庁はFS-Xの開発に先駆けて、T-2を改修した「CCV研究機」を用いて、フライバイワイヤーの研究を含め、「国内開発」の準備を進めていました。昭和60年に策定された「中期防衛力整備計画」に基づき、FS-Xについて「国内開発」、「現有機の転用」、「外国機の導入」の三つの選択肢の中から具体的な検討作業を進めました。その後米国から「共同開発」の提案があり、「国内開発」を「開発」に改め、昭和61年から技術的・専門的分野で検討を始めました。
昭和62年10月の「日米首脳会談」等により、わが国主導のもと日米の優れた技術を結集し、「日本の運用構想」、「地理的特性」などに適合するよう、F-15J又はF-16を改造開発することが決定されました。取得の確実性、費用対効果、インターオペラビリティーの確保などの見地から、F-16の改造開発計画案が最も適当であるとの結論を得たのは昭和63年11月です。
「国内開発」から「共同開発」に変更された背景には、当時の日米の貿易不均衡の問題や昭和57年から58年にかけて「東芝機械が、高性能スクリューを加工できる工作機械をソ連に不正輸出した」ことが昭和62年に判明した「東芝ココム規制違反事件」で悪化した米国の対日感情によって、防衛現場のニーズより政治的な判断があったと言われています。当初、「FS-Xで得られる技術情報は全て防衛庁に帰属する」とされていたものが、「米国の最新技術情報は開示せず」「日本の独自技術は米国に提供する」ように、大幅に譲歩する内容になっていきました。しかし、平成7年に初飛行した新支援戦闘機(F-2)は、日米間における「装備品・共同研究開発」として初めてのケースであり、日米の防衛協力を進展させるという観点から重要なものとなりました。
FS-XことF-2支援戦闘機の配備
初期不良等により配備遅延が予想されたF-2でしたが、平成8年に「試作初号機」が納入され、量産初号機が納入されたのは、共同開発決定から15年経過した平成12年になってからです。平成13年3月、新鋭「支援戦闘機F-2」の飛行隊が配備され、平成23年の最終号機納入まで計94機が国内生産されました。
用語説明
・F-16:米国ジェネラル・ダイナミクス社が開発した軽量の多用途戦闘機
・F-2:支援戦闘機F-1の後継機としての命名
・インターオペラビリティ:相互運用性(Interoperability)戦術、装備、後方支援などに関し、共通性・両用性を確保すること
・対共産圏輸出統制委員会:ココム(COCOM)Coordinating Committee for Multilateral Export Controls:共産主義諸国に対する戦略物質・技術の輸出・移転の規制のための委員会の略
・F-2:支援戦闘機F-1の後継機としての命名
・インターオペラビリティ:相互運用性(Interoperability)戦術、装備、後方支援などに関し、共通性・両用性を確保すること
・対共産圏輸出統制委員会:ココム(COCOM)Coordinating Committee for Multilateral Export Controls:共産主義諸国に対する戦略物質・技術の輸出・移転の規制のための委員会の略
まとめ
・日米防衛協力の観点から、武器の共同開発は有効である。
・最新の防衛力の整備については、防衛現場のニーズより政治的な判断が優先される場合がある。
・最新の防衛力の整備については、防衛現場のニーズより政治的な判断が優先される場合がある。
参考サイト
◆防衛省・自衛隊ホームページ
◆三菱重工/F-2戦闘機
◆防衛白書とは?(1)防衛白書の歴史
◆防衛白書とは?(2)作成の方針
◆防衛白書とは?(3)防衛白書と防衛大綱
◆防衛白書とは?(4)防衛力強化の取り組み
◆防衛白書とは?(5)シビリアン・コントロール
◆防衛白書とは?(6)新階級「曹長」と予備自衛官
◆防衛白書とは?(7)日米協力と機密情報保護
◆防衛白書とは?(8)防衛予算の金額と防衛記念章の規定
◆防衛白書とは?(9)冷戦の縮小とフォークランド紛争の教訓
◆防衛白書とは?(10)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(11)中央指揮システムの設置と女性自衛官活躍の拡大
◆防衛白書とは?(12)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(13)在日米軍の施設と関連費用とは
◆三菱重工/F-2戦闘機
◆防衛白書とは?(1)防衛白書の歴史
◆防衛白書とは?(2)作成の方針
◆防衛白書とは?(3)防衛白書と防衛大綱
◆防衛白書とは?(4)防衛力強化の取り組み
◆防衛白書とは?(5)シビリアン・コントロール
◆防衛白書とは?(6)新階級「曹長」と予備自衛官
◆防衛白書とは?(7)日米協力と機密情報保護
◆防衛白書とは?(8)防衛予算の金額と防衛記念章の規定
◆防衛白書とは?(9)冷戦の縮小とフォークランド紛争の教訓
◆防衛白書とは?(10)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(11)中央指揮システムの設置と女性自衛官活躍の拡大
◆防衛白書とは?(12)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(13)在日米軍の施設と関連費用とは