第28回目の「防衛白書」は、前年に引続き平成13年に発刊されました。
我が国の防衛力の整備は、平成7年に策定された「防衛大綱」に基づき、「中期防衛力整備計画」により実施されていました。平成13年、国際情勢、軍事科学技術の動向、長期経済見通し等を考慮し、新しい「中期防衛力整備計画(平成13年度~18年度)」を策定しました。戦闘機やミサイル等装備の近代化を図るとともに、陸上自衛隊の師団の一部について規模を縮小した旅団に改編する等、防衛力の合理化・効率化・コンパクト化を内容とした計画になっています。
えひめ丸事件(事故)
平成13年2月10日、ハワイ沖で愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が、緊急浮上した米原子力潜水艦と衝突沈没し、乗組員35名の内実習生4名を含む9名が死亡しました。米海軍による捜索救助は、船体の引揚げ作業中に発生した9.11同時多発テロの際も中断されることなく実施されました。海上自衛隊は、災害派遣として哨戒機による海面捜索を実施するとともに、潜水艦救難艦「ちはや」を派遣し、潜水装置等による沈没海域及び船内捜索を実施しました。水深35mの浅海域に引き揚げられた後、「ちはや」のダイバーと米海軍のダイバーが共同捜索活動を実施しましたが、実習生1名の遺体は見つけられませんでした。11月16日、1ヶ月間に渡る捜索終結を決める最後の確認潜水は、「ちはや」の潜水員が実施しました。
※潜水艦救難艦:沈没した潜水艦から乗組員を救助するための自衛艦。深海潜水艇や無人潜水装置を有し、深海潜水のダイバー乗船や潜水病治療の機能も装備されている。
9.11同時多発テロ 「不朽の自由作戦」
平成13年9月11日に発生した米国の同時多発テロにおいて、日本人24名を含む2,973人が犠牲になりました。国際連合決議等に基づき、テロ攻撃防止のために国際社会が協力して実施する活動に協力するための特別措置法が、10月29日に成立しました。テロ組織アルカイーダをテロの温床にしないため、インド洋で「不朽の自由作戦」(Operation Enduring Freedom)に従事している各国の艦船に対して、平成13年12月から19年10月の間、海上自衛隊の補給艦等が燃料・真水の補給を実施しました。11カ国の艦船に対し、艦船用燃料約49万㎘(約800回)、艦載ヘリ用燃料990㎘(約70回)、真水約7,000トン(約130回)を実施しました。
※不朽の自由作戦:アフガニスタン国内におけるテロ勢力の掃討及びインド洋におけるテロリストや武器・麻薬等の移動を阻止する活動の総称。
参考サイト
◆防衛省・自衛隊ホームページ
◆防衛白書とは?(1)防衛白書の歴史
◆防衛白書とは?(2)作成の方針
◆防衛白書とは?(3)防衛白書と防衛大綱
◆防衛白書とは?(4)防衛力強化の取り組み
◆防衛白書とは?(5)シビリアン・コントロール
◆防衛白書とは?(6)新階級「曹長」と予備自衛官
◆防衛白書とは?(7)日米協力と機密情報保護
◆防衛白書とは?(8)防衛予算の金額と防衛記念章の規定
◆防衛白書とは?(9)冷戦の縮小とフォークランド紛争の教訓
◆防衛白書とは?(10)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(11)中央指揮システムの設置と女性自衛官活躍の拡大
◆防衛白書とは?(12)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(13)在日米軍の施設と関連費用とは
◆防衛白書とは?(14)次期支援戦闘機(FS-X)の選定
◆防衛白書とは?(15)大喪の礼と自衛隊
◆防衛白書とは?(16)即位の礼と自衛隊 定年延長について
◆防衛白書とは?(17)湾岸戦争と自衛隊 防衛白書平成3年版
◆防衛白書とは?(18) 国連を中心とした人的な面での活動に対する協力
◆防衛白書とは?(19)米軍の夜間離着陸訓練場所の変更とイージス艦の導入
◆防衛白書とは?(20)自衛隊創立40周年の節目
◆防衛白書とは?(21)自衛隊の災害派遣 阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件
◆防衛白書とは?(22)日米関係の強化
◆防衛白書とは?(23)「新ガイドライン」と「防災基本計画」
◆防衛白書とは?(24)予備自衛官について その採用と訓練について
◆防衛白書とは?(25)教訓から生まれた海上警備行動が発令!
◆防衛白書とは?(26)国際平和協力業務と人道的支援
◆防衛白書とは?(27)防衛庁の移転と自衛隊員倫理法について