第26回目の「防衛白書」は、前年に引続き平成12年に発刊されました。
日本の平和と安全の確保に必要な防衛力を保持し、日米安保体制を堅持する一方で、国際社会においてより安定した安全保障環境の構築のための努力を継続しています。
国際緊急援助活動
カンボディアへの国際連合平和維持活動を始めとする国際平和協力業務と人道的な国際緊急援助活動を中心として様々な取組を実施しています。
初めての国際緊急援助活動は、平成10年ホンデュラス共和国のハリケーン被害に対し自衛隊を派遣し、医療活動と防疫活動を実施しました。第2回目は、平成11年8月に発生したトルコ北西部地震災害に際して、国際緊急援助活動として仮設住宅約500戸を海上自衛隊が輸送しました。
トルコ北西部の地震により、死者約17,000人、負傷者約44,000人の被害が発生し、日本政府は、人命救助、医療等を実施するとともに阪神淡路大震災の経験を活かした耐震対策の支援等を実施しました。自衛隊が輸送した仮設住宅のほか阪神淡路大震災で使用されていた仮設住宅の供与も実施されました。
トルコ共和国派遣海上輸送部隊は、輸送艦及び補給艦等3隻で編成され、出来るだけ早期に被災者に届けるため平均速力18Kt(約33Km/h)で連続23日間という海上自衛隊史上初の長距離連続航海(8,800マイル)により任務を達成しました。イスタンブールでは、厳しい航海の疲れを癒すような、盛大な入港歓迎を受けました。
トルコと日本の絆は強く、1985年のイラン・イラク戦争時イラン在留の日本人を救出するためのチャーター機派遣を日本の航空会社が断った時に、トルコ航空機が日本人を優先して搭乗させ脱出させてくれました。駐日トルコ大使は「エルトゥールル号の事故における日本人の献身的な救助活動をトルコの人たちは忘れてはいません。」と述べたと言われています。また、東日本大震災の時の救援活動において、最も長く現場に留まり活動をしてくれたのもトルコの救助隊でした。
参考サイト
◆防衛省・自衛隊ホームページ
◆防衛白書とは?(1)防衛白書の歴史
◆防衛白書とは?(2)作成の方針
◆防衛白書とは?(3)防衛白書と防衛大綱
◆防衛白書とは?(4)防衛力強化の取り組み
◆防衛白書とは?(5)シビリアン・コントロール
◆防衛白書とは?(6)新階級「曹長」と予備自衛官
◆防衛白書とは?(7)日米協力と機密情報保護
◆防衛白書とは?(8)防衛予算の金額と防衛記念章の規定
◆防衛白書とは?(9)冷戦の縮小とフォークランド紛争の教訓
◆防衛白書とは?(10)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(11)中央指揮システムの設置と女性自衛官活躍の拡大
◆防衛白書とは?(12)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(13)在日米軍の施設と関連費用とは
◆防衛白書とは?(14)次期支援戦闘機(FS-X)の選定
◆防衛白書とは?(15)大喪の礼と自衛隊
◆防衛白書とは?(16)即位の礼と自衛隊 定年延長について
◆防衛白書とは?(17)湾岸戦争と自衛隊 防衛白書平成3年版
◆防衛白書とは?(18) 国連を中心とした人的な面での活動に対する協力
◆防衛白書とは?(19)米軍の夜間離着陸訓練場所の変更とイージス艦の導入
◆防衛白書とは?(20)自衛隊創立40周年の節目
◆防衛白書とは?(21)自衛隊の災害派遣 阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件
◆防衛白書とは?(22)日米関係の強化
◆防衛白書とは?(23)「新ガイドライン」と「防災基本計画」
◆防衛白書とは?(24)予備自衛官について その採用と訓練について
◆防衛白書とは?(25)教訓から生まれた海上警備行動が発令!
参考
◆エルトゥールル号遭難事件
明治23年9月、親善のため日本を訪れていたトルコの軍艦が、和歌山県串本町沖で遭難し沈没した。500名以上の犠牲者をだしたが、69名の救出した乗員に対する献身的な救護や日本政府の送還等の尽力に対し、トルコの人達は好印象を持ち続けていると言われ、現代に至るまで友好関係の基になっています。串本町に慰霊碑が建立され、日本とトルコ大使館との共催により、節目の年ごとに慰霊祭が実施されています。(平成27年映画化:「海難1890」)