先日の記事では「塀の素材」を見てきましたが、今回は「塀の高さ」について、防犯上の観点から見ていきましょう。
また、「可視性」という観点からも、そのあり方について考えていきます。
高い塀のメリットについて
昔の家は、その多くが高い塀に囲まれていました。現在も古い住宅などは、その面影を残しています。
高さがある場合、泥棒は非常に入りにくいという意味で、防犯上とても有利です。有知識者には、「一番重要なのは、家の周りを取り囲む壁の『高さ』である」とする人もいます。
高い壁を乗り越えるのはとても大変ですし、乗り越えている最中にだれかに見られてしまう可能性もあるでしょう。
また、高い壁の場合、プライバシーを守れるというメリットもあります。女性の一人暮らし、洗濯物は外に干したい、しかし女性の一人暮らしだと気づかれるのは怖い……と考える人や、治安の悪いところに住んでいる人にとっては、高い壁は心強い味方となってくれるでしょう。
低い塀にもメリットがある
反面、低い壁にもメリットはあります。
高い塀の場合、たしかに「侵入を防ぐ」という意味では非常に有意義ですが、同時に、「いったん入られてしまったら、道から見て完全な死角になる」という怖さがあります。その点、低い壁ならばこのようなデメリットがありません。
加えて、開放感のある家、周りとの調和がとれる家になるため、地域の人とのコミュニケーションの一助にもなります。防犯においては「ご近所の目」が非常に大きな役割を果たすため、「通りがかった近所の人が、庭作業をしている人に声をかけられる」という「低い塀」はかなり意味のあるものだと言えるでしょう。
セミクローズドタイプの壁も
高い壁と低い壁、両方の防犯上のメリットを見てきました。
現在はこの2つのメリットを生かすべく、「壁自体の高さは高いが、格子や縞々のようなデザインにして、光や目線が入るようにする」というタイプの施工も増えています。これならば、「可視性」と「侵入の難しさ」の両面をクリアできるからです。
何を重要視するかは人によって異なりますが、塀を選ぶときは「防犯」の観点から物を見ることも重要です。
まとめ
・高い壁は、入られたら弱いが侵入がとてもしにくい
・低い壁は、入りやすいが入られても周りからの目が注がれる
・「セミクローズド」という「高さは高いが、可視性がある」と言う物もある