2017年2月15日、国立研究開発法人「防災科学技術研究所(以下NIED)」が今年度研究した結果得られた「最新の防災技術」を発表する第12回成果発表会を取材致しました。
今回は、発表会の概要と趣旨に関してご紹介致します。
趣旨に関して
7年に渡る中長期計画のスタート
NIEDでは2016年4月より国立研究開発法人になってから初めての中長期計画を組み、「今後7年間」の間に以下の目標を掲げて研究を進められます。
目標
防災科学技術研究におけるイノベーション中核的機関の形成
目標を達成するために、以下の6つの要素を形成します。
1、中核的機関としての産学官連携の推進
2、基盤的観測網、先端的研究施設の運用・共用促進
3、研究開発成果の普及・知的財産の活用促進
4、研究開発の国際的な展開
5、人材育成
6、防災行政への貢献
特に産学官の連携を促進するために、「デジタル図書館の活用」といったネットワーク活用を重要視しており、「基盤的研究開発センター」として次の様な6つの機関を設けられました。
1、地震津波火山ネットワークセンター
2、総合防災情報センター
3、先端的研究施設利活用センター
4、レジリエント防災・減災研究推進センター
5、気象災害軽減イノベーションセンター
6、火山研究推進センター
今回の成果発表会はこれら6機関の中長期計画に対する最初の成果発表という大切な趣旨を持っています。
概要
より身近な防災技術活用へ

防災科学技術研究所 林春男 理事長
発表会では、「地震津波観測」から「災害対策技術のエコシステム創出によるイノベーション化」、「災害情報発信の基盤化」といった要素が紹介されました。
共通して言えるのは、NIEDが目指して研究を進められたのは、「如何に人々の身近なところで防災技術を役立てていくのか」という点です。
例えば、気象災害軽減イノベーションセンター長の島村誠先生の発表では、「企業等も研究に参加しやすい環境」を整えていき、防災の研究成果を受け入れやすい協調・連携環境という「エコシステム」を成立させていく事を目標として発表されています。
もし、この考えが実っていけば今まで限られた「専門家だけで取り組んでいた防災の取り組み」に更なる多様性や独立性を組み込み、利用者のニーズに対するアウトカムが「NIEDというハブ」を介して、利用者にとって柔軟に対応し使いやすい形になる可能性を秘めています。
例としては東京大学の学生と共同で「気象状況による渋滞をデータ化する」という取り組みを考えた際に、「GoogleMapの交通情報データを取り込む」という発想が得られたというものや、セブンイレブンと連携して「大雪時の物流状況を集計」してどのように解決していくかという取り組みが行われています。
最新の防災技術が身近に、かつ簡単に情報を得られるようになれば(IT技術を活用して)万が一の時に「安心へと繋がる情報」を素早く見つけられるようになりますし、災害の危機から逃れやすくなりますね。
次回(明日)からは個々の発表内容に関して詳しくご紹介致します。
まとめ
・NIED第12回成果発表会は2016年から始まった中長期計画1年目の成果発表でもあった
・発表内容は防災技術をより身近に活用させていく為の研究内容