2011年に起こった東日本大震災とそれに伴う原発事故といった災害に纏わる問題、北朝鮮のミサイル問題とアメリカのトランプ政権による国際社会の不安定さ、ストーカー殺人や交通事故といった身近な場所での不安を煽る事件。
これらのトラブルが起こる時に、更に不安を煽る要素としてデマが存在します。
今回は、どうしてデマが生まれ不安を煽りながら解決されないのか? そのメカニズムと解決策を調べてみました。
デマのメカニズム
答えありきの問答
大きな事件が身近にあれば誰もが不安を覚えて、解決策を探そうとします。
この時に注意しなければいけないのは、「不安だからこうしないといけないのでしょう? 」と不安の原因に対して予め答えを設けてしまうという事です。
例えば、原発事故に伴う放射線問題を説明する時に、「果物は放射線を浴びてしまっているから食べてはいけないのでしょうか? 」という質問があったとします。
すでに除染され、新たに放射性物質が降り注いでいなければ、ほぼ問題はないでしょう。
しかし、解説する側が「放射線のリスクは低いので大丈夫です」と表現した時に、受け取る側は「放射線の影響がある可能性があるのなら食べてはいけない」と考えてしまう場合があるのです。
これは、「完全に安全であって欲しい」という前提がある為に、科学的に安全であっても影響がゼロと言い切られないと安全と思えないという心理的な問題から来ています。
結果的に、「原発事故があった場所の近くで採れた果物は汚染されているから食べてはいけない」というデマへと繋がってしまうのです。
また、デマは善意によって出た発言が原因となる場合もあるので、問題を過度に捉えて安全対策を取るように促すケースが多いです。
例えば、「ある商店街では防犯対策の取組がまだ途上だ」という情報が変に広がっていき「あの商店街は危険だから子どもは連れていかない方が良い」といったデマに繋がる場合もあります。
デマの解決策
伝える側と受け取る側の相互理解
デマを防ぐ為に必要な事として、まず情報を受け取る側が何を考えているのかをよく理解する事が大切です。
原則として、人は自分が知りたいと思う情報を集める傾向があります。
逆に、不利益となる情報を積極的に集めようとする人は少ないのです。
例えば、新居を探しているなかで、とても住みたいと考えている家を見つけたとします。
そこは景観も良く、町へのアクセスも良い為に買い物なども困る心配がありません。
しかし、そこは過去幾度となく土砂災害によって被害を出している地域です。
この時、災害に関する情報をあなたは自ら調べて知ろうと出来るでしょうか?
また、販売する側も積極的に災害に関して教えてくれるでしょうか。
結果的に知らぬまま購入してしまい災害で危険な目に遭ってしまう可能性があるでしょう。
逆に災害が起きた後に、不安な心境で情報を探す時、何を調べるか考えてみましょう。
安全な場所はないか? 新たな危険はないか? を探していくかと思います。
その時に、安全とされていた避難所などが被災していたらどう考えるかも想像してみましょう。
そうすると、「安全」というキーワードに不審を抱いて「新たな危険」を避ける為に、危ないとされる情報を調べていくようになっていきます。
結果的に、起きても居ない事に対する不安を煽る情報といったデマに行きつきやすくなるのです。
情報を伝える側は、本当に危険な事を発信していきつつ、受け取る側の不安をくみ取り、「不安を取り除く」という視点で応えていく必要性があります。
また情報を受け取る側も、ただ危険に関する情報を受け取るだけでなく、それが本当に正しいのかも考える必要があります。
勿論、津波に関する避難を促す話といった、緊急性があるものの場合は考えるより先に避難するといった、行動にすぐ移す事も非常に大切です。
時間的な余裕も踏まえて、対策を考えるように出来るとよいでしょう。
まとめ
・デマは「こうであって欲しい」という前提によって起こり易くなる
・情報は知りたいと思う事ばかり調べてしまい、本当に重要な情報以外を信じてしまう傾向がある
・正しい情報を伝えられる様、発信側も受け取る側が聞きやすい様に説明する必要がある
参考文献
◆防災士教本