日本は地震、豪雨、土砂災害など災害が発生しやすい国です。災害への危機意識も高まってくるにつれて、「防災」「減災」という言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。
防災と減災は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのか気になりますよね。防災と減災の違いについて一緒に考え、命を守る行動につなげていきましょう。
防災と減災の違い
「防災」は文字通り、「災害を防ぐ」という意味です。災害の原因となることを未然に防ぐことにより、災害そのものが起こらないようにする取り組みと考えることができるでしょう。例えば火災は、寝たばこや火のつけっぱなしなど火災が発生する原因を取り除くことによって防ぐことができますよね。災害につながる行為を控えること、災害につながる要因を無くすことも、立派な防災と言えるでしょう。
「減災」とは、「災害の被害を減らす」という意味で用いられます。例えば、地震を止めることはできませんし、台風の進路を自由に変えることはできませんよね。災害を完全に防ぐことは難しいのが現状です。そんな中、災害が発生することを前提としたうえで、「被害を少しでも減らす」「被害を最小限にとどめる」という考え方が「減災」です。被害を未然に防ぐことはもちろん大事ですが、万が一のときに最小限の被害にとどめるという考え方も、命や生活を守るうえで大切なのではないでしょうか。
日頃からできる「防災」「減災」対策とは
①身の回りにある危機を知る
災害を無くす・減らすためには、身の回りにある災害の危機を知ることが必要です。そこで役立つのがハザードマップです。自分の住んでいる場所や地域にある災害のリスクを確認しましょう。
災害の種類によってリスクや避難場所が変わります。様々な災害のリスクを確認しておくことがポイントです。
②避難経路・避難先の確認
避難をするときは最短距離で移動することにこだわらず、リスクが少ない安全なルートを選ぶようにしましょう。川の側、ブロック塀の側、崖の側などは決壊・倒壊のリスクが高く、危険です。これらを避けたルートを設定しましょう。災害の規模によっては、想定していたルートが通れなくなることがあります。そのようなときに備えて、複数のルートを想定しておきましょう。
また、家の中の避難経路を確保しておくことも、減災の取り組みにつながります。玄関、廊下、ベランダ、避難壁の付近などに物を置いておくと、速やかな避難の妨げになることがあります。日頃から片付けておきましょう。
③非常用持ち出し袋の準備
避難所へ持っていく持ち物を、災害が起こってから・災害が差し迫ってから準備していると、避難が遅れることがあります。非常用持ち出し袋を準備しておきましょう。
非常用持ち出し袋はすぐに持ち出せる場所に置くことが大事です。玄関、リビング、寝室などに置いておくことが推奨されています。押し入れの中、クローゼットの中など、すぐに持ち出せない場所はNGであることも、合わせて覚えておきましょう。
④備蓄をする
災害の種類や規模によっては、自宅避難をする可能性があります。また、災害の影響でインフラが停止したときのことを考えることも、減災への取り組みです。食料・飲料水・日用品などを備蓄しましょう。
災害に向けた備蓄は、最低でも3日分行います。人数分を確保しておくことも大事ですね。インフラが停止したときのことも考慮し、電気やガスを使わなくても食べられるものがよいでしょう。
災害発生時はトイレが使えなくなることも予想されます。簡易トイレを備蓄しましょう。トイレの回数は、1人あたり1日4~7回と考えられています。人数分を最低3日分用意しておくと安心です。簡易トイレの備蓄が間に合わないときは、大きめのポリ袋と新聞紙で対応します。ポリ袋などは100円均一やホームセンターなど身近な場所で購入できます。
飲料水とは別に、生活用水の備蓄もしましょう。簡単な方法は、浴槽に水をはることです。水道水をポリタンクに入れておく方法も行われています。
⑤家具を固定する
地震の際に家具が倒れて下敷きになることがあります。また、避難経路を塞いでしまい、避難ができなくなる恐れもあります。家具の倒壊は、命に直結します。必ず固定するようにしましょう。
金具を使って固定する方法、ジェルマットなどを使って固定する方法があります。材料や道具はホームセンターで購入することができるので、早いうちに取り組みましょう。
割れた食器、棚の上から落ちてくるものなども、思わぬケガや命を落とすリスクを高めます。割れやすい食器はシンクや食器棚の下部に収納しましょう。棚の上など高い場所に物は置かないでください。
⑥火の扱いに気をつける
火災は火の扱いに気をつけることで予防することができます。火を扱うときは、きちんと消火したことを確認しましょう。冬場はストーブの付近に燃えやすいものを置かない、就寝中の使用は避けるなどの基本事項を守りましょう。
放火による火災も多発しています。段ボールや古新聞など燃えやすいものは家の周囲に置かないでください。自転車のカバーなども、防炎のものを選ぶようにしましょう。
⑦早めに避難をする
命を守るためには、速やかに避難をすることが大事です。情報収集をし、早めに避難を開始してください。
「大雨が降る」「いつもと変わったことがある」など災害発生の予兆があるときも、速やかに避難をしましょう。
まとめ
・「防災」は災害の発生を防ぐ取り組み
・「減災」は災害が発生したときに、被害を最小限にとどめる取り組み
・防災、減災ともに日頃から危機意識を持って取り組むことが大事
・身近なリスクを知り、避難経路などを確認する
・非常用持ち出し袋はすぐに持ち出せる場所におく
・食料や飲料水の備蓄を行う
・家具は固定し、避難経路上には物を置かない
・火の取り扱いには十分に注意する
・災害が発生したとき、災害の発生が予想されるときは、早めに避難を