「お子さまと一緒に防災対策」最終回の今回は、お子さまとご家族が災害の疑似体験を行うことによる備えをお伝えします。
大地震は、生きている間に一回遭遇するかしないかというくらい、まれな現象です。従って、日本各地で大地震が発生しても、自分自身がその揺れの大きさを体感しない限り、「当事者」として防災を考えることは難しいものです。
未来を担う子どもたちに対しても、日本は地震大国であり、地震に対しての備えをすることは日本に住むうえでの作法であるということを、大人がしっかりと教育していくべきことと考えます。
今回は、地震に正しく備えるうえで大切な、防災教育についてお伝えします。
揺れの体験は当事者意識を持つための最大の体験
みなさんは、「起震車」に乗ったことはありますか?
起震車とは、地震の揺れを再現し、実際に大地震に似た揺れ方を体験できる車両です。防災のイベントなどでよく登場します。
「震度6強」「震度7」と聞いても、実際にその揺れの激しさは、体験してみないとわかりません。揺れの怖さを身をもって知ることで、「地震で壊れない家にしなくては!」「地震で家具が転倒しないようにしなければ!」など、初めて「当事者意識」が芽生える方も多いようです。
起震車体験は、自治体などで定期的に体験会を開いているところもあります。お住まいの自治体のホームページなどで、ぜひ調べてみてください。
また、地震体験はもちろん、火災や豪雨、台風などの体験ができる「防災館」「防災センター」といった施設もあります。
例えば東京都では、東京都消防庁が運営している「防災館」があります。
さらに、阪神淡路大震災をきっかけに設立された、兵庫県の「人と防災未来センター」は、地震に特化した展示、シアター、語り部などが常設されています。一度体験すると、地震に対する見方が変化することでしょう。
このような施設を利用して地震の「疑似体験」をすることで、本当に必要な備えを考えたり、いざという時に落ち着いて正しい行動を取れることが期待できます。
その非常食で、本当に乗り切れますか?
大地震後、生き残ることができたのちの問題として、食糧事情が話題に上ります。
自宅に非常用にとストックをすることはとてもいい心掛けですが、その自宅が倒壊してしまったり、家具がことごとく倒れて、食糧も見つからないような状況になってしまえば、せっかくのストックも意味を成しません。耐震補強や家具の固定を行ったうえで、食糧や水のストックを行いましょう。
非常食は、できれば普段から食べ慣れているものをお勧めします。
特にお子さまは食べ慣れていないものを突然食べることで、ストレスになる可能性があります。
レトルト製品などは普段から「ローリングストック」(食べたら補充するストック法)にするなど、ちょっとした工夫でストックは気軽に行えます。
また、長期保存可能な非常食は、賞味期限の切れるタイミングでお子さまやご家族みんなで、「非常食の試食大会」をやってみましょう。お子さまが非常食の味を知っておくことはいざという時とても重要ですし、どの非常食が口に合うかなど、次の非常食の準備の際にも役立ちます。その際、調理法はできるだけ非常時に近い形で行うのがベストです。冷たいまま食べてみたり、カセットコンロを使用したり、地震後のシミュレーションをすることができます。
まとめ
・地震災害の「疑似体験」は防災意識を高める一番の方法
・非常食のストックは「耐震性のある家」で「家具の固定」を行うのが前提!
・非常食の試食大会を行って、味に慣れておこう!
参考文献
◆子どもを守る防災手帖 / MAMA-PLUG編・著 / KADOKAWA pp.108~109
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