災害はいつどこで発生するかわかりません。発生した時に、子どもの側に必ずしも親や大人がいるとは限りません。災害から子どもの命を守るためには、災害の危険や怖さを伝えるとともに、災害に遭遇したときに取るべき行動について子ども自身が理解し身に着けることも大事なのではないでしょうか。
今回は、災害の危険を子どもにわかりやすく伝えるためにできることについて考えてみました。
体験を通じた防災教育
実際に経験・体験したことは記憶に残りやすいですよね。子どもに災害の危険を伝えるときは体験を交えると、より一層わかりやすいのではないでしょうか。
すぐに取り組めるのは、ハザードマップを使った学習です。ハザードマップ上に自宅・学校の位置を書き込み、その周辺にある危険な場所と避難所までの経路を確認してみましょう。地図上で確認するだけではなく、避難所までの経路を実際に歩いてみることをおすすめします。そうすることで避難までにかかる時間や、避難経路上にある思わぬ危険を知ることができます。また、川や崖など災害時に近づいてはいけない場所を目で見て確認することもいいですね。どのような危険があるのかも合わせて説明すると、子どもの記憶に残りやすくなるでしょう。
子どもの防災教育には、災害が発生した時の状況について体験できる防災体験施設もおすすめです。災害の怖さを体験しておくことは、万が一の時にどうしたらよいのか考え、迅速な行動にうつすことにつながります。筆者は小学生の時に地震体験車に乗り、関東大震災級の揺れを体験したことがあります。最初は興味本位で乗車しましたが、揺れのレベルが上がるにつれてとても怖くなり、車を降りるときには“地震は命の危険がある”ということをきちんと理解しました。それ以来、学校や地域で行われる避難訓練に危機意識を持って参加するようになりました。
体験を通じた教育は「映像を見る」「経験者の話を聞く」など様々な方法があります。可能な限り様々な経験を積み、危険について理解が深まるようにしましょう。
調べ学習を通じた防災教育
「調べる」「考える」という作業は、知識の定着や理解を深めることにつながります。災害の危険を伝えるために、過去に起こった大規模災害について調べてみてはいかがでしょうか。例えば、災害の歴史について調べると、日本で起こりやすい災害の種類や、災害は繰り返し起こるものであることを知ることができるでしょう。地震や台風など災害が起こるメカニズムを調べ、災害がなぜ起こるのかという仕組みについて理解を深めるのもいいでしょう。災害が起こったときにどのような状況になり、どれくらいの犠牲が生まれるのかということについて知ることは、大きな被害を出さないためにどうしたらよいのかを考えるきっかけにもなります。
また、住んでいる地域で過去に起こった災害について調べるのもいいですね。身近で起こりやすい災害について知ることは、身近にある危険を理解することにもつながります。
ゲームや遊びを通じた防災教育
子どもにとって遊びはとても身近なことです。遊びを通じて災害の怖さやいざという時に身を守る方法について伝える方法もよいでしょう。
自宅で手軽に取り組めるのは、インターネット回線を使ったゲームです。総務省消防庁「こどもぼうさいe-ランド」では、ゲームやクイズを使って防災の知識を養うことができます。
「ぼうさいダック」というカードゲームでは、体を動かしながら危険から身を守る行動を学ぶことができます。大人数で遊ぶときに適していると言えるでしょう。
また、幼児や小学校低学年までの子どもには、絵本や紙芝居の読み聞かせを通じて災害の怖さについて教える方法も効果的です。防災に関する絵本は、地域の図書館が所有している場合があるので、問い合わせてみましょう。
まとめ
・体験を通じて、災害の危険について理解を深めることができる
・調べることによって災害の歴史や身近にある災害について知識を養うことができる
・ゲームや遊びを通じて、日常の中から防災への理解を深める
参考サイト