防災士資格試験体験記連載3回目です。
前回は試験前にどの様な講習が行われたのかをお話ししました。
講習では色々な経歴の方々から防災・減災に関する興味深いお話をたくさん伺うことが出来ました。
今回は講習とあわせて試験前に行われた「図上演習」などの研修講座についてご紹介いたします。
◆そうだ、防災士になろう! 防災士資格試験体験記(1)
◆そうだ、防災士になろう! 防災士資格試験体験記(2)
チームに分かれて「図上演習」
完全に初対面の人と組む
災害が起こった時、必ずしも見知った人たちと一緒に活動出来る訳ではありません。
自助・共助という考えから近所の人たちと一緒に対応していく事は勿論ですが、公的機関の人々やボランティアの人々の中には遠方から来ている人もいるでしょう。
私も自衛官として東日本大震災で災害派遣された時にチームを組んだのは全く初対面の人同士で、互いの事を少しずつ知りながら業務に当たりました。
今回の「図上演習」でも、全く互いを知らない人同士でチームを組んで「防災マップを考える」事を求められました。
チームリーダーと書記をじゃんけんで決めましたが、お二人とも精一杯努めて頂けたので話が非常にスムーズに進んだ事は幸いでした。
リーダーが積極的だったお陰で、私たちのチームだけが全体発表を行えたのも幸運だったと思います。
今回、一緒のチームになった方々に改めて感謝の気持ちをお伝え致します。
防災マップを作る
地図から防災に必要な情報を読み取る
今回の「図上演習」で用意されていたのは、ある街の地図と色別のマーカー、そして色別のシールでした。
最初に求められたのは自分が住んでいると仮定する場所を決める事です。
街の中心部や住宅街、離れた山地の家などそれぞれが「住む場所」を定めたら、リーダーの指示を受けながら地図に情報を書き入れる作業を開始します。
海や川、広域避難場所となりそうなところを色分けしつつ、公的機関にシールを貼っていきます。
塗り分けが進むと、その地図からはどの場所が災害時危険になって何処に避難すればいいのかという情報が読み取れる様になっていきます。
今回は避難場所や病院が街と離れていて、川で分断される可能性もあるという嬉しくない想定が考えられる街でした。
そして一通り塗り分け作業が終わると、防災の為にどの様な事をする必要があるのかをそれぞれが付箋に意見を書き込み、リーダーがまとめていく作業を行っていきます。
ここで一度出てきた意見を全体に発表する機会を頂き、防災士研修センター常務取締役の玉田太郎氏のアドバイスを受けながら、的確な意見や抜け落ちていたポイントを指摘していって貰いました。
幸いな事にチーム内でそれぞれが積極的に多くの意見を出していたお陰で、多角的な視点で意見を集める事が出来ました。
例えば、街の中心部に寺社が集中していたので火災が発生した際には燃え広がる危険性があると指摘しましたが、一方で昔からある寺社の場合は災害を生き延びてきた可能性があるという見解も頂き、ひとつの要素でも多様な結果を導きだせる事を学べました。
災害を想定して考える
地震が発生したと考えて、意見を出し合う
次のステップとして、各チームの書記に渡されていた災害発生の想定図を、防災マップに書き込んでいきました。
今回は震度6強の地震が沿岸部にて発生し、内陸の山地でも震度6弱の地震が起きたという想定で話が進みました。
ここで重要となったのは、最初に定めた「住む場所」です。
災害が発生した時にどの様に行動するか、それぞれがリアルに想定した上で意見を出す事が求められました。
被害が想定される地域から外れているところに住んでいる人もいれば、地震だけではなく津波や土砂災害の被災地区が重複している人、避難所からも離れているのに住宅地で火災の可能性もあるという困難な環境にある人もいました。
通常であれば「どの様に避難するか」だけで避難想定は終わってしまいがちですが、講師から指摘される事項は避難で終わりではありませんでした。
「万が一自分がケガしたらどうするのか?」「不在時に家族が被災したらどの様にしておくか?」という項目も求められたのが、防災士特有の内容でした。
そこまで考えが及ぶ人は少なく、私も発想出来ませんでした。
防災士として活動する為に、これからはしっかり考えておくようにしようと思っています。
図上演習を行う事で、初対面の人々とのチームワークが求められると同時に、多様な考え方・物の見方をする事が出来ました。
今後防災士として活動する中で、より多様な状況で多くの判断が求められる様になる事を考えれば、非常に重要な講習であったと思いました。
次回は防災士資格試験体験記の最終回です。
いよいよ試験本番と、その試験対策についてがテーマです。
お見逃しなく!
まとめ
◆災害時には見ず知らずの人と協力していく事が求められる
◆図上演習・防災マップの作成から、災害に備えるためには多角的に考えるべき項目があると解るようになる