筆者の出身地である横浜では、避難訓練の時に防災頭巾を被る習慣がありました。関東地方を中心に、現在も入学時に防災頭巾を準備するように呼びかけている学校があります。
一方で、「防災頭巾に馴染みがない」「防災頭巾にどのような効果があるのかわからない」といった声も聞かれます。
防災頭巾は災害のリスクから子どもをどのように守ってくれるのでしょうか。今回は防災頭巾の意義と選び方についてご紹介します。
防災頭巾の意義

地震が起こった時、人体急所の一つである頭部を保護する必要があります。防災頭巾は被ることによって、頭部を保護する役割を担います。
防災頭巾は柔らかい素材でできているため、大型の落下物や重量のある落下物から頭部を守ることには適していません。しかしながら、ガラス片や木片など細かくて鋭利な物から頭部・耳・首・肩などを守るには優れた効果を発揮してくれます。
過去の地震では、割れたガラスや飛んでくるガラスで負傷したという事例が多数報告されています。ガラス片で負傷するリスクは地震だけではありません。1999年に台風18号が接近した際、愛知県豊橋市では竜巻が保育園や小中学校を襲い、200人以上の生徒がガラス片で怪我をしました。これらの事例から、災害の種類を問わず、飛散したガラス片で怪我をするリスクがあることがわかります。防災頭巾を被ることによって、こうした怪我から頭部を守ることができるのです。
防災頭巾の中には、防炎加工が施された製品があります。防炎加工の防災頭巾ならば、火災発生時に火が髪の毛に燃え移るリスクを軽減してくれます。
以上のことから、防災頭巾には災害時に想定される怪我やリスクから、子どもの頭部を守る効果が一定程度あると言えます。
防災頭巾の選び方
①燃えにくい素材でできているものを選ぶ

防災頭巾選ぶ時は安全性を考慮し、燃えにくい素材でできているものを選びましょう。
独立行政法人国民生活センターが行った実験によると、日本防炎協会の認定を受けた防災頭巾(認定品)とそうでないもの(非認定品)では、防炎性能に違いがみられることがわかります。認定品は火源から離れると火が消えるのに対し、非認定品の中にはそのまま燃え続けるものがありました。
防災頭巾を選ぶ際は日本防炎協会認定品かどうかを確認し、火災のリスクから子どもの頭部を守れるようにしましょう。
②使用年数や子どもの成長によって買い替える
防災頭巾は数千円程度するため、決して安い買い物とは言えません。しかしながら、防災頭巾を使用しなければならない場面は災害時です。性能が劣化していてはいざという時に役立たないかもしれません。
国民生活センターの調査によって、防災頭巾の機能は洗濯や経年劣化によって失われていくことがわかっています。洗濯をする時は取扱い説明書に従って行うとともに、傷みがみられる場合や詰物がつぶれたり偏ったりしている場合は、新しいものに交換するようにしましょう。
また、成長によって防災頭巾が子どもの体格に合わなくなることがあります。小さい防災頭巾では頭部や首を十分に守ることができません。子どもが防災頭巾を持ち帰るタイミング(夏休みなどの長期休暇)で子どもに着用させ、頭部や肩周りがきちんと保護できているかどうか確認してください。
③学校の方針を確認しよう
防災頭巾を用意すべきかどうかについては、学校や地域によって方針が異なります。固い落下物から頭部を守る効果は防災頭巾よりもヘルメットの方が優れており、地域によってはヘルメットの使用を推奨しているケースがあります。防災グッズは学校の方針に従って準備をするようにしてください。
まとめ
・防災頭巾には飛散するガラス片や木片から頭部を守る効果がある
・防炎機能のある製品を選ぶ
・劣化したり子どもの体格に合わなくなったら買い替える
参考サイト
◆板硝子協会:「統計と調査」
◆独立行政法人国民生活センター:「子ども用防災頭巾の安全性」