2016年8月24日にイタリアとミャンマーで立て続けにマグニチュード6クラスの地震が起こりました。
現地の映像を見ると倒壊した建物や寺院が目立ち、生き埋めになっている人が多数いると報道されていました。
1995年に日本で起きた阪神淡路大震災における犠牲者の多くも建物の倒壊による圧死でした。
地震のニュースを見ていると建物の耐震構造がどの程度あるのか不安になってしまいますよね。
そこで、日本が誇る最新の耐震・免震構造を調べてみました。
耐震構造とは?
揺れに対して頑丈にして地震に耐えられる建物へ
地震で建物が倒壊しない様にする一番単純な方法は、建物そのものを補強する事です。
小学校の窓際にエックス字型の鉄骨が入っている事がありますが、これは「鉄骨プレース」と言われるものです。
地震によって起こる横方向の力によって建物が変形してしまい、バランスを崩して倒壊するのを防ぐ効果があります。
他の方法にも支柱を補強する方法や、建物の周囲にフレームを設けて補強する方法などがあります。
しかし、最も耐震に効果があるのは「補強」ではありません。
建物の設計自体が耐震に優れた設計となっている事が一番です。
耐震性能に優れた代表的な構造としては「トラス構造」と言われる三角形の形をした鉄骨の組み合わせや、エックス字型に組ませる構造などがあります。
どの方向からの揺れにも強く、建物が負けて曲がらない様にすることに主軸をおいた構造です。
2014年に完成した大阪阿倍野区の高層ビル「あべのハスカル」は高さ300mという建物ですが、「鉄骨造筋交い」という鉄骨がエックス字型に交差して四隅の支柱を支える構造を多数並べた構造になっています。
耐久性を上げる事で地震に耐えるのが「耐震構造」です。
免震構造とは?
揺れを抑える事で室内の被害も最小にする
地震の多い日本で特に技術的に進んでいるのが「免震構造」です。
上の図でいうと真ん中が「耐震構造」で、右側が「免震構造」となります。
耐震構造が地震の揺れに対して耐えることが目的なのに対し、免震構造では地震の揺れを抑える事で揺れによる建物への負担を減らす事が目的です。
揺れを抑える事でビルの中で物が倒れるといった被害を少なくする事も出来ます。
通常高いビルは上の階に上るにつれて揺れも大きくなっていく特性があります。
耐震構造でもこの法則は変わりません。
ビルの上階部分は地震で揺れる際に振り子の頭と同じように大きな振れ幅でゆっくりと揺れる為、地震の揺れに対して大きく揺れる事になるのです。
ビルの揺れを解決する為に、日本の建築会社はそれぞれが最新の技術を開発してきました。
代表的な免震構造としては「倒立振り子式」または「吊り振り子式」という方式があります。
この「振り子式」は、文字通り振り子となる重りをビルの最上階に吊り下げたりバネの上に乗せて振り子として用います。
地震が起きた時に振り子はビルが揺れる方向とは反対側に揺れるのですが、その力が制動力として働きビルの揺れを小さくします。
振り子式免震構造は地震だけでなく強風によるビルの揺れも軽減する事が出来ます。
台風といった気象災害にも対応する事が出来るのです。
ほかにも、清水建設が開発した建物を水に浮かべる事で地震の揺れが直接伝わる事を防ぐ方法や、ビルの基礎にゴムを挟んで揺れを軽減する方法、オイルダンパーで揺れを抑え込む方法などの免震構造があります。
これからも免震構造技術は研究が進んでいく分野になりますので、日本の技術力が一層活かされるのを期待したいですね。
建物を建てる際には耐震構造と免震構造を最大限に活かして備える事が、災害から人々を守る事に繋がるのです。
まとめ
- 耐震構造は地震に対して建物自体の耐久性を高める事で対応する。
- 免震構造は地震に対して建物が揺れる事を抑える事で対応する。