「ブラック企業だということがわかったので、すぐに辞めたい」ということであれば、法律にのっとって処理をしていくことをおすすめします。
今回は、ブラック企業を辞めるときのやり方について見ていきましょう。
長期間引き留める権限は、会社側にはない
よく、「会社を辞めたいのに辞めさせてもらえない」という話が上がってきます。特に、会社に入ったときに、「退職の場合は6か月以上前に告知を行い、上司の許可をもらうこと」などのようなことを言われていると我慢してしまう人もいるでしょう。
上記の文言はその会社の「就業規則」です。しかし民法には、「原則として2週間前に申し出れば、退職することができる」とあります。
就労規則を優先するか民法を優先するかについては弁護士の間でも見解が分かれていますが、 「半年」というのは拘束期間が長すぎる例です。そのため、「就業規則を優先する」という見解を持っている専門家であっても、「民法の原則に従うべし」という見解を出しています。
ただ、可能ならば、1か月程度の準備期間は見ておいた方がいいかもしれません。
「退職願」ではなく、「退職届」を出してしっかりと辞めてしまいましょう。
生活費の確保、次の就職先
ひどいブラック企業で心身を害してしまった人は、とにかく自分の身を守るために早急に仕事を辞めなければなりません。
しかし、ブラック企業というのは、給料も安いもの。辞めた後の生活が……という人もいるのではないでしょうか。
しかし安心してください。
ハローワークは、このような人の強い味方になります。
1年以上雇用保険を掛けていた人の場合、仕事を辞めた後に3か月間~11か月(勤続年数によって異なる)の間、給料の50パーセント~80パーセントが支給されます。
自己都合で辞めた時は給付まで3か月間かかりますが、「はじめに契約した労働条件と、著しく違う環境下での労働であった」「いわゆるセハラやモラハラを受けていた」などの場合は、会社が倒産したときと同じく、「特定理由離職者」とされ、すぐに支給が開始されます。
この失業手当を元に、就職活動を行いましょう。
また、もっと計画的に、「ブラック企業にいるときから就活をしていて、決まった段階ですぐに退職届を出した」という人もいます。
まとめ
・就業規則で「半年前に言わなければ辞められない」などとされていても、それに従う必要はない
・民法で定められている「退職までに必要な時間」は2週間
・出すのは「退職届」
・ブラック企業からの離職の場合、失業手当はすぐに支給される
参考サイト
◆労働問題弁護士ガイド:「ブラック企業の穏便な辞め方と辞職後に請求できる2つのこと」
◆AllAbout:「退職願を提出した後、何日で退職できるか?」
◆弁護士ドットコム:「就業規則では1ヶ月前、民法では14日前、感情論抜きにいずれを採用して退職していいものでしょうか」
◆弁護士ドットコム:「就業規則と民法のどちらが優先されるのか」
◆ハローワーク:「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」