身近な飲み物には、意外とカフェインが多く含まれているもの。一般的に知られているのは、コーヒーや紅茶、栄養ドリンクなどですよね。コーヒーや紅茶を好んで習慣的に飲む方、疲れた時の活力として栄養ドリンクを飲む方は多いのではないでしょうか。
しかし、カフェインの過剰摂取は身体に良くないと聞いたことがある人は少なくないはず。事実、過去にはカフェインの過剰摂取で命を落としたというケースがありました。
それでは、カフェインは身体にどのような影響を与え、どれくらいの量が限度なのでしょうか。今回はカフェインの過剰摂取についてご説明いたします。
カフェインの過剰摂取による中毒死

2015年に、20代前半の男性が短期間でのカフェインの過剰摂取により中毒死した事故があります。カフェイン中毒で命を落とすケースは国内初。男性は、ガソリンスタンドで勤務しており深夜から早朝まで働いていました。カフェインを含む清涼飲料水は、1年以上前から日常的に飲んでいたとみられます。遺体からは、カフェインの錠剤とみられる物質も確認されました。
この事故によって、カフェインを過剰摂取すると命を落とす危険性があることが世間の関心を集めたのです。
カフェインが身体に与える影響とは

カフェインは神経を興奮させる作用があります。過剰摂取すると、中枢神経系が刺激されてしまい、心拍数があがったり、興奮したり、逆に不安になったり、不眠や震え、めまい、下痢や吐き気、嘔吐などの健康被害をもたらすのです。また、カフェインを摂り過ぎる期間が長期間に渡ると高血圧のリスクがあがるとも言われています。
妊婦さんの場合、カフェインの過剰摂取により赤ちゃんが低体重になったり、将来的に健康被害が出る可能性があると言われているので、特に気をつけたいところ。
ただしカフェインは、適度な量であればがんを抑え、死亡リスクを減らす効果があるようです。他にも疲労の抑制、記憶力や計算力があがるなどの効果も期待できます。
つまり、過剰摂取に気をつけるとカフェインは強い味方となるのです。
カフェインの量は1日どれくらいが限度なのか

まずは、目安として飲料に含まれているカフェインの量を見ていきましょう。
・エナジードリンクといった清涼飲料水は製品1本あたり36~150mg
・コーヒー(浸出液)やインスタントコーヒーは約60mg
・玉露は約160mg
・煎茶、ほうじ茶、ウーロン茶は約20mg
・紅茶は約30mg
・玄米茶は約10mg
・コーラ飲料は約10~13mg
上記を見ると、コーヒーよりも玉露の方がカフェイン量が多いことが分かります。
ただし、これらはあくまでも目安です。製品によって含まれるカフェインの量は異なるので、飲む前に成分表示を確認すると安心ですね。
1日のカフェイン量の限度についてですが、国内ではカフェインによるリスク評価がされていないのが現状です。そこで、世界の基準を見ていきましょう。
世界保健機関(WHO)によると、妊婦がコーヒーを飲む時は1日3~4杯までと呼びかけています。英国食品基準庁(FSA)では、1日あたりマグカップ2杯程度(カフェイン200mg)に制限するべきとしています。米国の保健福祉省(DHHS)や農務省(USDA)では、健康な成人なら1日あたり3~4カップ(カフェイン量400mg)が中毒のリスクは高くならないとしているのです。
カフェイン中毒にならないためにも、コーヒーとカフェインが含まれている清涼飲料水を併用することは危険です。また、医薬品にもカフェインが含まれているものがありますよ。
1日の摂取量に気をつけて、過剰摂取にならないように注意しましょうね。
まとめ
・カフェインの過剰摂取は心拍数の上昇や下痢や吐き気など健康被害をもたらす
・妊婦さんの場合は胎児に影響を与える可能性がある
・適度な量であればがんや疲労の抑制などの効果が期待できる
・コーヒーよりも玉露の方がカフェイン量が多い
・国内ではカフェインの限度についての情報がない
・1日の上限はカップ2~4杯程度
参考サイト
◆一般社団法人日本生活習慣病予防協会「カフェインの過剰摂取は危険」
◆農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
◆厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
◆全日本コーヒー協会「コーヒー図書館」