春は草むしりやガーデニングがはかどる一方、毛虫による被害が多発する季節です。毛虫被害の中でもチャドクガの幼虫による被害は深刻で、都市部でも大量発生が確認されています。
チャドクガの幼虫はどのような被害をもたらすのでしょうか。被害に遭わないためにはどのようなことに気をつければよいのかという点とあわせてご紹介します。
チャドクガによる被害とは?
チャドクガとはドクガ科に属する蛾で、幼虫・成虫とも毒を持っています。春に大々的な被害をもたらすのはチャドクガの幼虫です。チャドクガの幼虫は長さ0.1ミリメートル程度の非常に細かい毒針毛(毒を持った針)を纏っていて、この毒針毛に触れると数時間後に強烈なかゆみと腫れ・発疹を引き起こします。
皮膚症状は2~3週間続き、かゆみによる寝不足など二次被害を引き起こすことがあります。チャドクガの幼虫による皮膚炎は、掻き毟ることで拡大します。強いかゆみが現れても掻き毟らないようにし、患部が広範囲に及ぶときは医療機関を受診しましょう。
どんな時に刺されるの?
チャドクガの幼虫による被害は、まずチャドクガの幼虫に直接触れた時に起こります。特にガーデニング作業中や庭木の剪定中に刺されるケースが多発しています。この他にも、虫に直接触れていない・虫を見ていないといった時でも被害を受けることがあります。「幼虫に近づいた時に毒針毛が落ちてきた」「風で飛ばされた毒針毛が皮膚に付着した」「衣服に付着していた毒針毛に触れた」「ペットに付着した毒針毛に触れた」といった事例が報告されています。
チャドクガの幼虫の毒針毛はとても小さいため、よほど気をつけていないと皮膚や衣服に付着していることを見抜くことができません。そのため、気が付かないうちにチャドクガの被害に遭うことがあります。
チャドクガの幼虫はどこにいるの?
チャドクガの幼虫はツバキやサザンカといったツバキ科の庭木に発生します。チャドクガの卵はツバキ科植物の葉の裏側に産み付けられ、孵化すると葉の表裏に群がって生息します。チャドクガの幼虫の被害に遭わないためにも、ツバキ科の植物には安易に触れないようにしましょう。
チャドクガの幼虫は4~6月と8~9月頃に発生し、生息域は日本全国に渡っています。都市部や市街地でも大量発生や被害が確認されています。
被害に遭わないためには?
チャドクガの被害に遭わないためには、毒針毛に刺されないように工夫をすることが大切です。まずツバキ科の植物には安易に触れないようにしましょう。好奇心旺盛な子どもが被害に遭うことも考えられるため、ツバキ科の植物がある場所で子どもを遊ばせる場合は目を離さないようにしましょう。
ガーデニング、庭木の剪定、草取りなどの庭仕事をする時は、チャドクガの幼虫の被害に遭いやすいです。これらの作業をする時は長袖・長ズボン・手袋・帽子を着用し、皮膚が露出しないように心がけてください。首の後ろ側に毒針毛が付着することも考えられますので、首にタオルを巻いて保護する方法も取り入れてみましょう。
衣服に付着した毒針毛から被害を受けないためにも、作業に着用した衣服の取り扱いにも注意してください。毒針毛が付着した可能性がある衣服は、そのまま洗濯機で洗濯してはいけません。毒針毛が洗濯漕内に残り、他の衣服に付着して被害を拡大させる危険があるからです。毒針毛が付着した可能性のある衣服は、粘着性のあるシート(ガムテープ、カーペット用の粘着クリーナーなど)を用いて毒針毛を取り除きましょう。
また、チャドクガの毒は熱に弱い性質があるので、「アイロンのスチーム機能を利用する」「衣類乾燥機にかける」などの方法により、衣服に付着した毒針毛の毒を無毒化することも可能です。
まとめ
・チャドクガの幼虫の毒針毛に触れると、かゆみ・湿疹などの皮膚炎が起こる
・卵が孵化する4~6月・8~9月は被害に遭いやすい
・ガーデニング、庭木の剪定、草むしりをする時は特に気を付ける
・被害に遭わないためには、「ツバキ科の植物に触れない」「庭仕事をする時は肌を露出しない」といった方法が効果的