「日本列島では『3.11』を契機に、大地が揺れ動く『巨大災害の世紀』が始まった・・・」という研究者の言葉があります。
地震や火山の活動期に入り今後さまざまな自然災害が予想されていますが、災害の規模が大きくなればなるほど、より遠くの広い地域に避難しなければなりません。
これを「広域避難」と言われています。
そこで、大規模災害での広域避難に備え、どのような心構えが必要かについて考えてみたいと思います。・
予想されている大規模災害について知ること
国や自治体による想定や研究機関などからさまざまな災害予測が公表されていますが、特に、次の三つの自然災害に関心が高まっています。
①「首都直下型地震」
②「南海トラフ巨大地震(西日本大震災)」
③「富士山噴火」
いずれも想定される被害が大きく、特に②については「3.11」を超える災害が発生するといわれています。
公表されている情報や関連資料をよく見て考え、これまでの体験や知識(常識)と違って「どのようなことが起こるのか?」について知ることが重要です。
さらに、気象災害の分野で「スーパー台風」と呼ばれる超大型台風についても注目されています。この名称は、気象庁の階級表にはありませんが、米国で呼ばれている「スーパータイフーン」を読み替えたもので、日本での最強区分「猛烈な台風」の中でも特に強い台風とされています。
このような、これまでの常識を超える規模の台風が上陸した場合の「風水害」、特に、高潮や洪水などによる被害予測についても知っておく必要があります。
広域避難について日頃から考えておくこと
自治体の地域防災計画(避難計画)に示されている内容を理解した上で、自分自身でも災害状況(様相)を想像しながら、「いつ」・「どこへ」・「どのように」の視点で日頃から考えておく必要があります。
① 「いつ」避難するか。
突発的に起こる直下型地震などでは、建物倒壊や同時多発火災等の二次災害も予想されるため、落下物などからの緊急回避後は「直ちに」避難する。
また、「スーパー台風」接近などの場合では、1~3日程前から予想される上陸の時期・地域・勢力などの情報を得ることができるため、自治体から出される関連情報を基礎にしつつ、「避難勧告・指示」が発表される前の段階で自ら判断して「早めに(先行的に)」自主避難することも選択肢です。
災害の対象・規模や発生の時期・場所などにより、避難時期を判断する時間的余裕に違いが出ますが、「決心」が遅れないようにしなければなりません。
② 「どこへ」・「どうように」避難するか。
広域避難の場合は、自治体の判断により避難先や移動手段などが示されるため、指定された場所・要領で避難することになります。
ただし、判断や行動するための時間的余裕があり、個人的に遠方の避難先を確保でき、総合的な判断でも自主避難が適当と考えた場合などでは、交通機関等に影響が出る前の早い段階で避難を始めることもあると思います。
そのためには、可能性のある「避難先」の関係者と事前に相談しておかなければなりませんし、複数の移動手段についても検討しておく必要があります。
その時の「問題点は何か?」、「どんな対策が必要か?」などについて日頃から考えておくことが大切です。
状況に応じた判断・行動ができるようにしておくこと
そのためには、過去の教訓を含めた防災知識と想像訓練(イメージ・トレーニング)を日常生活に取り入れるなどの工夫が必要と思います。
まとめ
・予想されている「大規模災害」の被害予測(様相)について知ること
・「広域避難」(いつ・どこへ・どのように)について日頃から考えておくこと。
・状況に応じた判断・行動ができるようにしておくこと。
参考資料
◆『次に来る自然災害』鎌田浩毅著(PHP新書)
◆『西日本大震災に備えよ』鎌田浩毅著(PHP新書)
◆『大避難 何が生死を分けるのか』島川英介・NHKスペシャル取材班著(NHK出版)