2017年4月から、米韓合同軍事演習などに反発する北朝鮮は弾道ミサイルの発射実験を繰り返すと共に、核兵器の使用を含んだ過激な発言を繰り返して、周辺国に不安を与えています。
米軍も対北朝鮮に対する攻撃を踏まえた展開を行っており、緊迫した状態が続いています。
特に弾道ミサイルは、発射される危険性があるという問題もあります。
今回は弾道ミサイルが及ぼす危険性と、万が一北朝鮮情勢が悪化して弾道ミサイルが飛んできた時にとるべき行動をご紹介致します。
弾道ミサイルの威力
積んでいる弾頭で威力が変わる
弾道ミサイルは積み込まれる兵器によってその威力は異なっていきますが、主に4種類の弾頭が存在します。
①通常弾頭(爆薬)
②化学弾頭(毒ガス)
③生物兵器弾頭(細菌兵器など)
④核弾頭
北朝鮮は上記4種類全てを保有しているとされていまが、弾頭として効果が発揮できるかについては不明な部分も残っております。
通常弾頭は、爆薬が詰め込まれた弾頭のことで、爆発すると周囲に鋭い破片をばら撒くのが特徴です。被害範囲は一番狭いのですが、強力な爆発を起こすため建物などにも被害を与え易いという特徴があります。
化学弾頭と生物兵器弾頭は似たようなタイプの兵器で、人体に有毒なガスや細菌を落ちた先でばら撒くことにより、その土地を汚染したり生物に害を与えます。
比較的建物を破壊する力は弱いのですが、化学弾頭は効果がなくなるまで時間が掛かってしまうこと、生物兵器弾頭は人・動物から人へと感染が拡大していく恐れがあります。
長期間にわたり被害を及ぼす可能性が高い兵器です。
最後に説明するのは核弾頭ですが、これはもっとも破壊力が大きい兵器であると共に、放射線を周囲に放射します。
爆心地の近くは高温と強烈な衝撃波によってなぎ払われ、離れていても熱線によりやけどを負うのです。旧式で威力も比較的弱い広島に落とされた原爆(リトルボーイ)ですら半径2km圏内の木造建築物を爆風で吹き飛ばし、半径1km以内は全て熱線で焼かれてしまいました。
放射線を大量に浴びれば、細胞が死滅して命を落としてしまいますし、土壌などが放射性物質となってしまい汚染されるリスクもあります。中性子爆弾という爆発力を抑えた代わりに、大量の放射線を放出するのに特化したタイプも存在します。
核兵器・生物兵器・化学兵器はNBC(またはABC)兵器と呼ばれ、その使用は国際的な制裁を受ける可能性を孕んでいます。それだけ危険性の高い兵器なのです。
また、弾道ミサイルその物も強力な破壊力を持っています。
音速を超える速度で降って来る重さ1t以上の物体ですから、直撃すればただでは済みません。
液体燃料が用いられている弾道ミサイルでは、残った燃料が地表に被害をもたらす危険性もあります。
可燃性であるだけでなく、有害物質でもあるために非常に危険なのです。
通常、弾道ミサイルは目標へは弾頭のみが落ちていきますが、途中にはバラバラになったロケットの破片なども降り注ぐ危険性があります。
飛んできた時の対応
屋内へすぐに避難
では、弾道ミサイルが北朝鮮から発射された時はどうすればいいのでしょうか?
北朝鮮からの弾道ミサイルを自衛隊などが探知するとJ-ALERT(全国瞬時警報システム)にて弾道ミサイル情報が知らされます。携帯電話へ直接メールが届く場合やテレビのニュース速報として知らされ、サイレンが鳴る場合もあります。
弾道ミサイル情報が流された場合には、出来るだけ速やかに屋内へと避難しましょう。
迎撃が無事に成功した場合でも、ミサイルの破片が落ちる事がありますし、屋外よりも爆発による破片や熱から身を守る事が出来ます。
窓の傍では、ガラスの破片が飛んでくる危険性があるので、出来るだけ建物の奥へと避難しましょう。
近くにミサイルが落ち、他にも落ちてくる様子がなくなったら、出来るだけ早くその場から離れて、警察や消防、自衛隊の方に保護してもらうと良いでしょう。自治体の職員も対応を進めます。
その場から離れて、公的機関に保護を求める理由としては、もしミサイルに化学兵器や生物兵器が用いられていた場合、その影響を受けている可能性があるからです。
また、風の方向も考えながら、逃げる方向を間違えない事も大切です。
防毒マスクなども販売されていますが、化学攻撃などから身を守るには10秒以内で完全に身に着ける必要があり、肌の露出もさけなければ種類によっては被害を受けてしまうので、避難を優先する方がよいでしょう。
核兵器であった場合も基本的には同じ方法で避難を行います。このとき、爆発地点を直接目視できない位置にいる事が大切です。
物陰に隠れていれば、熱線によるやけどをせずに済むのです。
地下鉄などの地中深い場所であれば、比較的被害が少なく済むでしょう。その場合は、放射線による被曝を避けるために、救助が来るまでその場を動かない方が良いかもしれません。
緊迫が続く北朝鮮情勢ですが、平和的な方法で解決されることを切に願います。
まとめ
・北朝鮮が持つ弾道ミサイルには4種類の兵器が使われる可能性がある
・警報が流れたら、速やかに屋内へ避難する