現在の自衛隊は、先達から引き継いだ伝統の上にあり、良い形で残すべき伝統も多くあります。現代の生活やいざという時にも役立つ、旧軍の教えや伝統について紹介したいと思います。初回は海軍の伝統から紹介します。
五省とは何か
海軍の五(ご)省(せい)
1 至誠(しせい)に悖る(もとる)なかりしか
(誠実さや真心、人の道に背くところはなかったか)
2 言行(げんこう)に恥(は)ずるなかりしか
(発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか)
3 気力(きりょく)に欠(か)くるなかりしか
(物事を成し遂げようとする精神力は、十分であったか)
4 努力(どりょく)に憾(うら)みなかりしか
(目的を達成するために、惜しみなく努力したか)
5 不精(ぶしょう)に亘る(わたる)なかりしか
(怠けたり、面倒くさがったりしたことはなかったか)
海軍の将校となるための学校(海軍兵学校:現広島県江田島市)で、日々の各自の行為を反省するために掲げられていた言葉です。現代の海上自衛隊においても継承され、毎晩瞑目正座し発唱することにより、心の中で反省し明日の修養に備えています。
文語調の標語ですが、リズムもよく覚えやすい言葉になっており、現在のそれぞれの立場や生活のなかで自分に問いかけるところに意義があると思います。
この五省は、アメリカの海軍兵学校(アナポリス、メリーランド州)にも掲示されています。駐留していた米海軍の司令官が五省に感銘を受け、後に海軍兵学校の校長の時に採用されたものです。以下に古語の英文による五省を示しますが、この英文訳は、公募により海軍兵学校(江田島)出身者の案が採用されたそうです。
Five Reflections
1 Hast thou not gone against sincerity.
2 Hast thou not felt ashamed of thy words and deeds.
3 Hast thou not lacked vigor.
4 Hast thou exerted all possible efforts.
5 Hast thou not became slothful.
まとめ
・海軍で作られた五省という言葉は今も海上自衛隊に引き継がれている
・日本だけでなくアメリカでも認められ教えられている