2008年から2010年までの間、「コード・ブルー ドクターヘリ救急救命」というドラマが放送されていました。
人里離れた土地で、陸路を使う救急車では間に合わないかもしれないという時に一人でも多く助ける為に配備されたのがドクターヘリです。
劇中で描かれたように病院から直接飛来するドクターヘリの凄いポイントと、他との違いを紹介していきます。
ドクターヘリの役割
医師が同乗し医療処置も行う
ドクターヘリが配備されている場所は、過疎化により病院が少なくて救急車が迅速に駆け付けられない場所や搬送に時間が掛かると想定されている場所です。
重篤患者であっても、迅速に運ぶと共に必要な医療処置を医師によって行う事で救命率を少しでも向上させる事が他にない重要な役割です。
2016年12月時点で39の都道府県に合計48機のドクターヘリが配属されています。(出典元認定NPO法人救急ヘリネットワークHEN-Net)
歴史
欧米から始まった
ヘリコプターが開発されてから、ドクターヘリとして配備が始まったのは1950年~1953年の朝鮮戦争で救急患者の搬送用として導入されてからです。
以前、観測や哨戒といった限定的な役割に用いられていたヘリコプターは第一線救護という救急救命の役割に大きな貢献をしていく事になりました。
その中では、撃墜された戦闘機のパイロットを助ける戦闘救難任務という高度な訓練が必要とされるものもありました。
1970年代になると、ドイツとアメリカに於いて「医師が同行して民間の患者を安全かつ迅速に運ぶ事が出来ないか」という案が浮かび、1970年にはドイツでドクターヘリの運用が開始されます。
一方、日本では2001年4月から配備が始まり、各都道府県に一か所は拠点を設けられる様に計画が進められています。
ドクターヘリの運用
最寄りの臨時発着場と病院を繋ぐ
ドクターヘリは救急要請を受けた消防機関や早急に患者をより高度な医療機関へ運ぶ必要があると判断した医療機関によって出動要請が行われます。
ドクターヘリには操縦士と機関整備士の他に医師が1~2名と看護師が乗り込んでおり、機内の救急治療機器や薬品を用いて医療処置を行いながら搬送します。
しかし、ヘリが着陸するには広い場所が必要となる為、最寄りの臨時発着場に指定された広場までは地元の力で患者を搬送する必要があります。
ただし、ドクターヘリのパイロットは特殊な訓練を受けている訳ではないので、夜間・悪天候下での飛行は難しいところがあります。
その場合は航空自衛隊航空救難隊などの訓練を行ったヘリの出動が要請される場合があります。
類似の救難ヘリなど
消防や自衛隊が運用する
ドクターヘリの運用が行われる前から、高度な救急救命処置を行う訓練を受けた救急救命士を同乗させたヘリが様々な機関で運用されていました。
最も日本で歴史があるのは、航空自衛隊の航空救難隊になります。「防仁学」災害救助における最後の砦! 航空自衛隊航空救難団・メディックとは?
事故などによる救難では彼らと海上自衛隊・海上保安庁の救難飛行隊が高度な技術を持っています。
患者輸送では陸上自衛隊のヘリ部隊や都道府県の消防・役所が保有する消防ヘリ・防災ヘリも協力します。
しかし、これら類似の救難ヘリの問題点は殆どの場合で医師が同乗していないので医療処置を行う事が出来ないという事です。
逆に医師を搭乗させる航空機としては、小説にもなっている「航空自衛隊航空機動衛生隊」があります。
こちらはC-130J大型輸送機の機内に搭載された「機動衛生ユニット」という独立した医療機器施設を用いて、重篤患者の救急搬送と機上医療に関する研究と教育を行っています。
また、飛行場を持たない小笠原村で急患が発生した場合は、災害派遣の要請を受けた自衛隊が活躍致します。海上自衛隊のus-1・us-2が父島の湾内に直接着水して緊急搬送を行うか、硫黄島に配備されている海上自衛隊のヘリコプターに海上自衛隊または航空自衛隊の医官が乗り込み硫黄島まで搬送すると同時に、本州から飛来した航空機に引き継ぐという「命のリレー」が行われております。
大ケガや重病といった一刻を争う状況では、適切な治療をどれだけ早く受けれるかが重要になります。
2011年の東日本大震災でもドクターヘリは災害救助に派遣された各機関の航空機と共に重要な役割を果たしました。
今後も控えているとされる南海トラフ沖地震などに備え、必要な場所に必要な数の配備が望まれます。
まとめ
・ドクターヘリの運用は欧米から始まった
・ドクターヘリには、医師と看護師が同乗している
・ドクターヘリが対大生出来ない時は、自衛隊、海上保安庁が活躍する
参考サイト
◆認定NPO法人救急ヘリネットワーク HEN-Net
◆ドクターヘリTOP 久留米大学病院
◆航空機動衛生隊 航空自衛隊小牧基地