毎年のように起きている土砂災害ですが、みなさんは土砂災害警戒区域にはイエローゾーン(土砂災害警戒区域)と、レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)の2種類が存在していることをご存じでしょうか?土砂災害特別警戒区域であるレッドゾーンに指定されると、指定区域内での開発行為に規制がかかります。警戒区域であるイエローゾーンでは、早急な避難が求められています。今回は、土砂災害特別警戒区域であるレッドゾーンと、土砂災害警戒区域であるイエローゾーンについて詳しくお伝えしていきます。尚、レッドゾーン、イエローゾーンとの呼び名は通称なのですが、今回はこちらの通称の方がわかりやすいので、敢えて通称にて解説します。
レッドゾーンが指定される定義とは!?命の危険がある場所
レッドゾーンが指定される定義は、「土砂災害が起きた場合、建物は壊れ住民の命に著しい危害が生じるおそれがあると予測される地域」となっています。こんなこといわれたら、そんな場所に住みたくないですよね。
レッドゾーンの区域内では勝手に住宅は建てられない
レッドゾーンの区域内で住宅を建てるなら、自治体に開発申請を行いがけ崩れ防止の措置を講じなければ、住宅を建てることはできません。
・住宅を建てるのは開発行為とみなされる
・開発申請を行い、許可を得ないとダメ
・土留めや擁壁など、がけ崩れ防止対策が必要
・大きな工事なので莫大な費用がかかる
・新たにレッドゾーン内で開発する業者は少ない
既に住居がある場合、移転勧告される場合もある
危険なレッドゾーン内に新たに住宅を建てる方はほぼいませんが、指定される以前から住んでいる方はどうなるのでしょう。実は、レッドゾーンに指定されると移転勧告が大抵の場合行われます。移転勧告とは、「大変危険な場所にお家があるので、安全な場所に移り住んでくださいね」というものです。
擁壁など建物を防護するように整備する必要もある
移転しない場合だと、住んでいる建物を土砂から守るための擁壁などを整備する必要があります。どちらにしても、お金がかかるのは当然なので次からは費用面を見てみましょう。
移転や施設整備には補助金が利用できるが、100%ではない
移転するにしても施設を整備するにしても、大きな金額が必要となります。そのお金はどうなるのかというと、自治体から補助金がでます。ですが、各自治体で金額は異なりますし全額ではありません。なので、既に住んでいる方にとってはレッドゾーンに指定されることは、大変なことになるのです。
レッドゾーンは極小範囲で指定されて、住宅はほとんど存在しない
レッドゾーンは命に関わる危険性が極めて高い区域なのですが、そのほとんどが極小範囲で指定されていて、範囲内に住宅があることは極めてマレだといってよいです。ハザードマップで確認して頂くとわかりますが、住宅が入っているレッドゾーンを探す方が難しいくらいです。ですが、0ではないのでレッドゾーンの怖さは知っておいてくださいね。
・レッドゾーンはとても危険な区域
・レッドゾーンは極小範囲で指定されている
・範囲内に住宅がかかることはマレ
・全国に18万個所以上指定されている
(国土交通省平成23年公表値)
イエローゾーンは広範囲に指定されて住宅も多く範囲内に存在する
今度はイエローゾーンについてですが、イエローゾーンは広範囲に指定されていて、その範囲内には多数の住宅が存在しています。イエローゾーンには「急傾斜地の崩壊・土石流・地すべり」の3つの土砂災害を想定して指定されるので、どうしても範囲が広くかつ個所数も多くなってしまうのです。
急傾斜地の崩壊・土石流・地すべりの指定内容
ではここで、急傾斜地の崩壊・土石流・地すべりでの、イエローゾーンへの指定内容を解説しておきましょう。
◆急傾斜地の崩壊
・傾斜度が30度以上で高さが5m以上の区域
・急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域
・急傾斜地の下端から急傾斜地高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の区域
◆土石流
・土石流の発生のおそれのある渓流において、扇頂部(せんちょうぶ)から下流で勾配が2度以上の区域
◆地すべり
・地滑り区域(地滑りしている区域または地滑りするおそれのある区域)
・地滑り区域下端から、地滑り地塊(ちかい)の長さに相当する距離(250mを超える場合は250m)の範囲内の区域
◆全国のイエローゾーンの指定件数
・30万4千個所以上(国土交通省平成23年公表値)
近年の土砂災害はほぼイエローゾーンと合致している
毎年必ずといってもよい位に土砂災害が発生して、甚大な被害をもたらせています。そしてその被害のほとんどが、イエローゾーンと合致しているのです。イエローゾーンの指定個所の多さからいって、合致してしまうのは当たり前なのかも知れませんが。
イエローゾーンの中に住居がある場合は早めの避難をしよう
家を担いで逃げる訳にはいきませんが、早めに避難してご自身の命を守ることはできるはずです。イエローゾーンの範囲内は、土砂災害の被害に逢う可能性が高いことを示しています。空振りでもいいので、警報が発令されたら安全な場所に避難することをおススメします。
・イエローゾーンの中では土砂災害による被害が高い
・空振りでもいいので、警報が発令されたら安全な場所に避難する
・大丈夫だろう、が最も危険な判断
まとめ
・レッドゾーン内は住みたくない程危険な場所
・レッドゾーンの指定範囲は極小で住居が存在する確率は低い
・イエローゾーンの指定は広範囲
・イエローゾーンの中にはたくさんの住宅が入っている
・警報が発令されたら避難することが重要
・早期避難が命を守ることを理解しておこう