みなさんは「土壌雨量指数」なるものをご存じでしょうか?実は、以前の洪水・土砂災害ハザードマップには、この土壌雨量指数が掲載されていました。ですが、分かりづらいとのことで、マニュアルが改定されて、注意喚起のコンテンツとして記載されるに留まっています。ですが、土壌雨量指数は、土砂災害との関連がとても深い数値になります。今回は、この「土壌雨量指数」について解説しましょう。
土壌雨量指数とは
土壌雨量指数とは、大雨が降った時に土砂災害が起きる危険度の高まりを、把握するための指標として使われます。大雨によって起きる土砂災害は、現在降っている雨の量だけでなく、土壌中に溜まる水の量に大きく関係します。土壌雨量指数は、降った雨が土壌中にどれだけ溜まっているかを「タンクモデル」と呼ばれる方式で数値化しています。
土壌雨量指数は、各地の気象台が発表する大雨警報や、土砂災害警戒情報等の判断基準に用いされる重要な数値です。降雨量だけでなく、土壌中に溜まった水を知ることで「雨が止んでも危険な状態」であることを知ることができます。
誰もが土壌雨量指数を知ることができる「キキクル」
最近では、誰もがカンタンに土壌雨量指数を把握することができるシステムを、気象庁が公開しています。それが「キキクル」です。台風や活発な前線によって大雨がもたらされた時、天気予報でキキクルが紹介されています。キキクルは5段階の色分けで、土砂災害の危険度を表示しています。
・肌色は「今後の情報等に留意」
・黄色は「注意:警戒レベル2相当」
・オレンジは「警戒:警戒レベル3相当」
・薄い紫は「非常に危険:警戒レベル4相当」
・濃い紫は「極めて危険」
このような色分けで、土砂災害の危険度を表示しています。天気予報では、薄い紫以上になった地域に対して、避難を呼びかけています。オレンジの地域でも、大雨警報が発令されていて今後も雨が続く場合は、紫に変わる可能性が高いので早めの避難を呼びかけています。
キキクルの色分けは警戒レベルに対応している
キキクルでは土砂災害の起こる危険度を、色分けで表示していることをお伝えしましたが、その色分けは「警戒レベル」の色分けに対応しているのです。オレンジ色の警戒レベル3相当は、「高齢者等避難」に該当します。さらに、紫色の警戒レベル4相当は、「避難指示」に該当します。つまり、キキクルで自分が住んでいる地域がオレンジになれば、避難を開始する合図だと考えて良いでしょう。薄い紫色なら、避難指示が該当となるので、土砂災害の警戒区域にある方は必ず避難しましょう。このように、土壌雨量指数を表示するキキクルは、土砂災害から命を守るための情報になるのです。
避難するべきかは、ハザードマップで確認しておこう
キキクルで紫色になったからと言って、その範囲の全ての方が避難する必要はありません。「だって、避難指示に該当するなら避難しないとダメでしょう!」そう思われるかも知れませんが、避難が必要なのは土砂災害ハザードマップにて「土砂災害警戒区域」の範囲に、住んでいる方になります。浸水も土砂災害も影響のない方は、自宅に留まることが可能ですよ。日頃から、洪水・土砂災害ハザードマップを確認して、自宅の危険度を知っておくことが重要です。
まとめ
・土壌雨量指数は土砂災害が起きる危険度を数値化したもの
・キキクルは土壌雨量指数の数値を色で表示している
・オレンジなら早めの避難が必要
・紫は避難指示に該当するので、早急に避難すべき
・土砂災害ハザードマップで自宅の危険度を把握しておこう