2016年4月にあった熊本地震では、避難所に入らず狭い車内で車中泊する方が大勢いました。産経新聞の取材では、車内泊をする理由として、「すぐに逃げられるから」「避難所は他人に気を使ってしまう」「揺れが続いて避難所の中でも危険を感じた」といった声があったようです。
その結果、エコノミークラス症候群と言われる症状に多くの人々が苦しい思いをする事になりました。
では、エコノミークラス症候群とは一体何なのでしょうか? 症状や対策を調べてみました。
エコノミークラス症候群とはなに?
同じ姿勢を取り続けると、血管が詰まっていく病気です!
正式には静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)という名前で、長時間同じ姿勢を取り続けると起こる病気です。
その為、狭い中で同じ姿勢で居続ける事の多い飛行機に乗っている時に起こりやすい病気として、「エコノミークラス症候群」と言われるようになりました。
症状としては、血液の流れが悪くなり血が固まる事で出来る血栓で血管が塞がってしまう事で下半身の腫れや痛み、肌の変色が起こります。体の奥にある深部静脈という血管に血栓ができると静脈と周りの皮膚に炎症を起こす血栓性静脈炎を起こして痛みを感じる事もあります。
血栓が流され肺に達すると肺塞栓(はいそくせん)という症状を引き起こす事があります。症状としては呼吸困難や胸の痛みを感じ、悪化すると意識の消失や最悪心肺停止を引き起こして死に繋がる事もあります。
また、発症の割合として女性の方が起こりやすいと言われています。
特に左足は血栓が出来やすいと言われていて、理由としては総腸骨動脈という血管が総腸骨静脈という血管と交差しており、静脈を動脈が圧迫してしまう為です。
熊本地震の避難生活では、硬い床の上で雑魚寝したり狭い車内で身動きが取れないなか寝ていた方が発症しており、車中泊をしていた50代の女性が一人亡くなられています。
予防方法と治療方法
血管をサラサラにする様に心がけよう!
エコノミークラス症候群は血栓が出来る事で起こる症状ですので、血栓が出来ない様に血液を動かし続ければ、起こる可能性を減らす事が出来る病気でもあります。
例えば避難所では大勢の人がいて思うように身動きが取れませんが、姿勢を変えたり足を動かしたりしてみましょう。
筋肉の動きは血液を送り出すポンプとしての働きもあり、滞った血液を押し出してくれます。足をマッサージしてあげるのも血液を押し出してあげる事になり効果的です。
また、血液はドロドロになるほど血栓が出来やすくなります。体の水分が不足してくると血液の濃さが増してしまいドロドロになってしまいます。その為、トイレが気になる人もいるでしょうが脱水症防止の為にも水分を取るようにしましょう。
普段の生活でも、コレステロール値が高くなって血液がドロドロになっているとエコノミークラス症候群のリスクが増えるので、脂物を控えるなどして血液がサラサラである様にしましょう。肥満も血管を圧迫する事で血液の流れを悪くするので解消してください。
元から血栓症という血栓が出来やすい病気を持っている方は、普段から血流が滞らない様にする努力する必要があると言われています。医師から処方される血液の凝固を防ぐ薬を飲むことや弾性ストッキングという締め付ける事で血流をよくするストッキングを履く事も対策方法のひとつです。
もし発症してしまった時の治療方法としては、薬品を使って血液が固まり難くする抗凝固治療法という物と血栓を薬で溶かしてしまう血栓溶解療法、血管の中にカテーテルという管を通して血栓を砕いたり吸引、または薬品で溶かしてしまう血管内治療法があります。
しかし、症状が進んで危険な時は手術で直接血栓を取り除く場合もあります。
手術するとなると大掛かりな治療となってしまい、大変な思いをしてしまう事になりかねません。
普段の生活から気を付けて、エコノミークラス症候群になる可能性を減らすのが一番良い対策方法です。
避難生活では体を動かそうという機会が少なくなってしまいますが、出来るだけ日中は避難所の中を歩いたり、出来るなら寝る場所は足を伸ばせるように工夫すると良いでしょう。
まとめ
・エコノミークラス症候群は血液が固まり血栓となり血管を詰まらせてしまう病気
・予防は、普段から血がサラサラになるように気を付け、足を動かす等の運動をする