昨年2016年10月12日の15時半ころに発生した停電は、東京都内58万6000軒以上の建物に影響を及ぼしました。
霞が関などでエレベーターに閉じ込められる事故が発生しておりますが、東日本大震災の時にも同じ様な事故が発生していました。
今回の停電は古いケーブルが火災を起こした事が原因とされていますが、地震などの大きな災害でなくてもエレベーターに突然閉じ込められるという事が誰にでも起こり得るのです。
もしも停電でエレベーターに閉じ込められたらどうすればいいのか調べてみました。
エレベーター閉じ込めの原因
安全装置が正常に作動出来なかった時に起こる。
現在のエレベーターの殆どには停電などの非常時に作動する地震時管制運転装置といった安全装置が付いています。2009年から取り付けが義務付けられています。
例えばエレベーターが移動中に停電が発生すると自動的に最寄りの階で停止して扉が開く様になっています。火災時管制運転という火災報知機と連動して安全な階で降ろしてくれるシステムも存在します。
しかし、古いビルに用いられているエレベーターには安全装置が付いていない場合があり、停電時の状況によっては安全装置が作動せず、扉が開かない場所で停止してしまう場合もあります。
停電が起こる理由としては地震や雷、火事、大雨による浸水などが考えられますが、機械的な故障を含めると年間1万件以上の閉じ込め事故が発生しているとされています。
浸水の場合は機械的な故障を招く場合もあり、特に注意が必要です。
事故に巻き込まれない為に
入り口が濡れているエレベーターは避けよう
エレベーターはモーターを使って扉を開けたり上下の移動を行っています。
電力を用いて作動しているので水に濡れると回線がショートを起こして故障する原因になってしまうのです。
地下のエレベーター等は大雨の時に浸水して故障を起こす可能性があるので注意しましょう。
また、古いエレベーターは万が一の時に作動する安全装置がない場合も考えられるので使用は最小限にする事をお勧めします。
安全装置がないエレベーターは火事や地震といった、いつ停止してもおかしくない状況でも動いてしまうので、避難しようとして誤って乗ってしまうというケースがあります。
閉じ込められると救助を待つほか無いので、避難する時は階段か非常用エレベーターという災害に備えた対策を施してある特別なものを利用する様にしましょう。
エレベーターの中で起こる問題
一番の問題はトイレ
エレベーターが万が一停止して閉じ込められてしまったら、コンソールにある非常用インターホンを押して管理会社等に通報してください。
直ぐに繋がらない可能性もありますが、携帯で消防に連絡するのと並行して呼びかける様にしてください。
救助が来るまでには状況によっては1時間以上かかる事が想定され、大規模災害の場合には救助が長時間来ないという事態も考えられます。
その時に起こる問題として、長時間閉所に閉じ込められる事による疲労や食事、トイレの問題が考えられます。
特にトイレの問題は救助までの時間が短くても、高齢者や女性にとっては深刻な問題です。
現在、東京都などがエレベーターに配置を進めているエレベーター非常時備蓄ボックスには食料や簡易トイレが備えられており、いざという時に利用する事が出来る様になっています。
ただ狭い空間なので、一緒に内蔵されているブランケットなどを利用して最低限のプライバシーを確保する必要性があるでしょう。
脱水症や空腹による体力の減少も非常食や飲料水があれば安心できます。
救出時の注意点
停止した場所よりも上に脱出する
エレベーターが停止した時に、最も確実な脱出方法は電力の回復を待って動いてから最寄りの階で降りる事です。
ただ、機械的な故障などで脱出出来ない場合は、消防隊による救助を待つ必要があります。
エレベーターは中の扉と外の扉が開く場所でなければ開かない様になっているので、緊急時は管理者が持つ鍵を用いて扉を開ける事になります。
この時、エレベーターより下の階に脱出すると下に出来る隙間からシャフト(エレベーターの通る穴)の中へ転落してしまう可能性があり大変危険です。
エレベーターと出入り口の段差が殆どなければ問題はありませんが、消防の指示に従って上から脱出する様にしてください。
扉が開かない場所で止まってしまった場合は、天井にある救出専用の出口を外から開けてもらい脱出する事になります。
注意点としては中から無理に開けようとしない事です。
通常は外から施錠されていて、開いた状態では電力が復旧してもエレベーターが動かなくなってしまいます。
万が一、エレベーターに閉じ込められたら大人しく救助を待つようにしましょう。
これから起こるとされている南海トラフ沖地震や首都直下型地震では7000台以上のエレベーターが停止する可能性が指摘されており、他の原因によるトラブルも考慮すると何処で閉じ込め事故にあってもおかしくはありません。
冷静に対応して切り抜けられる様にしましょう。
まとめ
・エレベーターの閉じ込め事故は災害による停電や機械的故障で発生する
・浸水している可能性があるエレベーターは使わない
・非常時は通常のエレベーターを使わない
・エレベーターの内部ではトイレや食事の問題が起こる
・救出される時は消防の指示に従って脱出する
参考サイト
◆エレベーター閉じ込め その時どうする? NHKそなえる防災
◆一般財団法人 日本エレベーター協会昇降機の安全性について >エレベーターの安全対策 > 事故を未然に防ぐ
◆エレベーターの安全に係る技術基準の見直しについて 国土交通省