「エルニーニョ現象」「ラニーニャ現象」という言葉を耳にしたことはありませんか?これらの現象は、しばしば異常気象の原因となることがわかっています。
異常気象による災害に備えるためにも、この機会にエルニーニョ現象とラニーニャ現象への理解を深めておきましょう。
エルニーニョ現象とは
エルニーニョ現象とは、赤道付近にある東部太平洋海域(太平洋の赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海域)の海面温度が平年よりも高い状態が、数か月から数十か月に渡って続く現象のことです。
通常時は東部太平洋海域の上空に貿易風と呼ばれる東風が吹いていて、暖かい海水は西側に流れ、東側は海底から冷たい海水が湧き上がってきます。エルニーニョ現象が発生するとこの貿易風の働きが弱まり、西側にたまっている暖かい海水は東側へと広がってきます。それによって東部太平洋海域の海面温度は高くなり、積乱雲の活動域も平時よりも東にうつることになります。
エルニーニョ現象は日本の気候にも大きな影響を与えます。夏は気温が低く日照時間が少なくなる傾向にあります。梅雨明けも遅れる傾向にあり、長雨による洪水や土砂災害などが発生する可能性があります。また、冷夏になることにより農作物などへの被害も懸念されるようになります。台風は数が少なくなる傾向にあるものの、勢力が強い台風や寿命が長い台風が近づく恐れがあります。そのため、台風による災害にも注意する必要があると言えるでしょう。一方で、冬は気温が高くなる傾向にあります。エルニーニョ現象の影響により、2019年から2020年にかけて記録的な暖冬となりました。
ラニーニャ現象とは
ラニーニャ現象とは、赤道付近にある東部太平洋海域の海面温度が平年よりも低い状態が、数か月から数十か月に渡って続く現象のことです。
ラニーニャ現象が発生すると貿易風の働きが強まり、西側の海域が暖かくなると同時に、東側の海域では冷たい海水がいつも以上にわきあがります。それによって東部太平洋海域海面の温度が低下します。
ラニーニャ現象が発生すると積乱雲の活動域が西側にうつることから、日本では夏場に気温が高くなる傾向にあり、沖縄や奄美地方では降水量が増加します。冬場は全国的に気温が低下し、大雪に見舞われることがあります。2017年の秋から18年にかけてラニーニャ現象が発生した際は平均気温が1度低下し、大雪が観測されました。ラニーニャ現象が発生している年は、雪による事故や災害に一層の注意が必要と言えるでしょう。
災害への備え
エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、気候に大きな影響を与えます。このような気候の傾向を知り、起こりやすい災害に備えることも大事なことなのではないでしょうか。
日頃から非常用持ち出し袋の中身を確認し、必要なものが常にそろっている状態にしておきましょう。夏や冬など季節によって必要なものも変わってくるので、こまめに入れ替える習慣もつけておきましょう。雪かきの道具やタイヤのチェーンなども早めに購入し、準備しておいてください。
また、ハザードマップで自分が住んでいる場所で起こりうる災害の危険性について確認しましょう。その際、避難場所や避難経路も合わせて確認します。災害時の情報収集手段(テレビ・ラジオ・防災無線・自治体のホームページやSNSなど)も複数確保しておきましょう。
まとめ
・エルニーニョ現象が発生すると、夏は気温が低下し、冬は暖冬になる傾向がある
・エルニーニョ現象が発生している年は、長雨、洪水、土砂崩れ、台風などの災害に注意
・ラニーニャ現象が発生すると、夏は気温が上昇し、冬は寒くなる傾向がある
・ラニーニャ現象が発生している年は、大雪などの災害に注意
・気象の傾向をチェックし、災害への備えを強化しておく
参考サイト
◆気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」
◆東京海上日動リスクコンサルティング株式会社「エルニーニョ現象が引き起こすリスク」