雪化粧をまとった富士山は、とてもキレイです。2019年の富士山への登山客は約23.6万人、コロナ禍の2021年でも9月10日までに、約7.9万人の登山客が訪れています。そんな観光として有名な富士山ですが、活火山であることはみなさんご存じの通りです。では、火山に対しては「火山ハザードマップ」が作成されていることは、ご存じでしょうか?富士山にも「富士山ハザードマップ」が作成されているのです。
令和3年3月に改定された「富士山ハザードマップ」とは
富士山ハザードマップは、富士山が噴火することを予想して「火口ができる範囲・火砕流が流れ出る範囲・融雪型火山泥流が流れる範囲」など、噴火による被害の危険度を表示したハザードマップです。富士山ハザードマップには、多くの情報が記載されていて、パッと見ただけでは理解できない部分があります。そこで、富士山火山防災協議会が危険リスクのある自治体に対して、分かりやすい「富士山火山防災マップ」を作成しました。
富士山ハザードマップは、平成13年7月に設置された「富士山火山防災協議会及び富士山ハザードマップ検討委員会」により、平成16年6月に策定されています。この会の事務局は、内閣府・総務省消防庁・国土交通省と政府機関が担っています。そして、改定作業を進めた結果、第11回富士山火山防災対策協議会において、令和3年3月に富士山ハザードマップが最新版に改定されています。
想定火口範囲と溶岩流のリスク範囲
改定された富士山ハザードマップは、これまで以上に詳しい情報が万歳となっています。噴火した際にできる「想定火口範囲」も大幅に拡大されました。想定火口範囲が変更されたことによって、溶岩流の出発点も増える結果となり「小規模噴火の溶岩流ドリルマップ・中規模噴火の溶岩流ドリルマップ・大規模噴火の溶岩流ドリルマップ・溶岩流の可能性マップ」の、詳しいマップが作成されています。溶岩流はマグマが流れ出したモノですから、死に直結する現象です。溶岩流からは、確実に逃げなくてはなりません。なので、今回の改定で溶岩流の影響範囲が非常に詳しく記載されることとなっています。
融雪型火山泥流
融雪型火山泥流とは、冬季の富士山で雪が積もっている際に噴火すると、溶岩流と共に溶けだした雪が一気に溶けて、土や砂などを巻きこんで流れ出す現象のことを言います。この融雪型火山泥流は、カンタンに表現すると土石流と同じようなものなので、溶岩流よりも広い範囲に影響を及ぼします。なので、富士山ハザードマップでは、融雪型火山泥流の「危険度分布・到達時間・最大流動深・到達範囲・到達時間」などを詳しく解析しています。
大きな噴石・降灰・降灰後土石流
火山の噴火と言えば、御嶽山で多くの被害を出した「噴石」が起こります。富士山ハザードマップでは、甚大な被害となる「大きな噴石」の範囲も示されています。さらに、桜島などの噴火時にみられる「降灰」や「降灰後土石流」の範囲も示されています。
富士山火山防災マップについて
ここまで、富士山ハザードマップの内容を紹介してきました。マップの情報は、多岐に渡っていることがお分かり頂けたでしょう。富士山は、山梨県(富士吉田市、南都留郡鳴沢村)と、静岡県(富士宮市、富士市、裾野市、御殿場市、駿東郡小山町)に跨っています。富士山ハザードマップは、これら関係する自治体全てを網羅しているので、マップ1枚では表現できません。そこで、富士山ハザードマップを作成する、富士山火山防災協議会が災害リスクのある、富士吉田市・御殿場市・富士市・小田原市・足柄上地区の4市1地区に限定した「富士山火山防災マップ」を作成しています。このマップは、富士山ハザードマップから必要なデータを抽出して作られています。これによって、富士山の噴火に伴うリスクのある自治体に対して、早期の避難ができるようサポートしているのです。ただし、現在の富士山火山防災マップは、平成16年作成の富士山ハザードマップから作られています。今後、改訂版のマップから作成されるはずです。
まとめ
・富士山ハザードマップは富士山火山防災協議会が作成している
・令和3年3月に最新版に改定された
・改訂版ではとても詳しい解析がされている
・富士山火山防災マップは富士山ハザードマップから作られている
参考サイト
◆内閣府 防災のページ 富士山火山防災マップ - 富士山火山防災協議会
◆富士山火山防災対策協議会
◆静岡県公式ホームページ 富士山ハザードマップ(令和3年3月改定)