2016年12月6日午前0時頃、福島県郡山市の民家が突如爆発するという事故がありました。
当時中にいた住民の男性はノドに火傷を負う重症で、付近に住む男性も飛び散ったガラスの破片で頭部にケガを負いましたが、お二人とも命に別状はないとの事です。
爆発の威力は強力で、爆心地となった木造平屋の民家を全壊させ、さらに周囲の住宅5軒にも窓ガラスが割れるなどの被害を及ぼしました。
住んでいた男性はガスコンロでお湯を沸かしており、一度火を止めていたコンロで再びお湯を沸かそうと火を入れたら爆発したと証言されています。
今回は民家を全壊させるほどの爆発を起こしたガスコンロ・ガスボンベの危険性と、使用する時の注意点を詳しく調べてみました。
ガスコンロ爆発の原因は?
爆発事故の原因は2種類ある
今回爆発事故を起こしたガスコンロがどの様な形式であったかは分かっていませんが、過去ガスボンベを使用するカセットコンロの爆発事故は何度もありました。
例えば、2011年10月に東京都内の高校で行われていた学園祭にて、調理に用いていたカセットコンロのガスボンベを外そうとした際に爆発し、男子学生が負傷する事故がありました。
より大きな事故では2008年豊島区の高校で、2台のガスコンロに鉄板をまたいで敷いて焼きそばを調理している最中に爆発し、15人が負傷し重症2名中等症※4名という大きな事故を起こしています。
※中等症とは重症に至らないまでも、入院が必要なケガや病を示します。
いずれもガスボンベが過熱されたことにより、ボンベ内の圧力が上昇した事で起きた爆発事故です。
後者の方が大きな事故となったのは、鉄板によって圧力の逃げ場が少なくなり威力が増した事と、破片等の飛散物が増えた事により殺傷力が増加した事が原因と考えられています。
ガスボンベが過熱された際の爆発力は通常密閉された空間で圧力が高まるほど上昇します。
しかし、漏れたガスに着火することにより爆発する場合は逆の条件で爆発力が高まる事があります。
例えば、気化した可燃性ガスが部屋に充満している状態で着火した場合、爆発的な燃焼が室内で起こる事で急速に空気が膨張し大きな爆発を起こします。
似たような原理を利用した爆弾として、可燃性物質を噴霧して着火する「燃料気化爆弾」という兵器が存在するほどです。
特徴としては爆薬などの爆発と比較して1立方メートルあたりの圧力が低くなり、広い範囲に圧が掛かるという点です。
このように、ガスコンロの爆発事故の原因には「ガスボンベが過熱して破裂」する場合と、「密閉された空間で漏れたガスに引火」する場合の2つのパターンがあります。
今回、民家が爆発した事件では再度着火しようとして爆発したとの事ですから、後者のガス漏れが起きている状態で着火してしまった可能性が指摘されています。
ガスコンロ使用上の注意点
正しい利用法を守って慎重に
ガスコンロ・ガスボンベを使う時に注意しなければならない事は、シンプルですが正しい取り扱い方法をしっかり守る事です。
つい間違ってしまいがちな、誤った使用方法をピックアップしましょう。
受け皿(五徳)を天地逆で使わない
受け皿(五徳)を逆さまに取り付けるとコンロとフライパンなどが直接触れ合う状態になり、想定されている温度より加熱してしまいます。
天地をしっかり確認して取り付けましょう。
規定よりも大きい鉄板や鍋を使わない
想定されている物より大きな鍋や鉄板等を用いると、本来なら温められないはずのガスボンベまで加熱される事になり、大変危険です。
特にバーベキューや学園祭などで複数のガスコンロを連ねて使って爆発事故を起こすケースが多発しています。
絶対にやめてください。
ガスボンベをしっかり奥まで取り付ける
ガスボンベがしっかり正常に取り付けられていない場合は、隙間からガス漏れを起こして危険な状態となります。
コンロの規格に対応していないボンベを用いる場合も同様の危険があります。
ガスボンベを交換した直後は、強いガスの臭いがしないか必ず確かめましょう。
室内で使う場合はこまめに換気を
ガス漏れを起こしている時に、部屋が密閉されていると充満したガスに着火する危険性が高まります。
ガスコンロ使用時は換気をこまめにする様にしましょう。
換気を行う事で一酸化炭素中毒による事故も防ぐ事が出来ます。
カセットガスコンロ・ガスボンベはレジャーだけではなく、非常時も活躍する便利なグッズです。
しかし、時として「爆弾」と同じ様な危険性を伴います。
安全な扱い方を守って、楽しい食卓を囲いたいですね。
まとめ
◆カセットガスコンロの爆発にはガスボンベが過熱されて破裂する場合と、漏れたガスに着火する場合がある
◆ガスコンロによる事故を防ぐには正しい扱い方を守る事が大切