第19回目の「防衛白書」は、前年に引続き平成5年に発刊されました。
夜間訓練場所への取組み
横須賀を母港とする米海軍の航空母艦艦載機の夜間離着陸訓練は、昭和57年から神奈川県の厚木航空基地で実施していましたが、飛行場周辺の都市化等により代替え施設の提供を米国政府から求められました。厚木基地からの距離等の理由により三宅島が適地と判断され、東京都三宅村の理解を得るため努力しましたが理解を得られませんでした。
三宅島に離着陸訓練基地を設置するまでの暫定措置として硫黄島(いおうとう)を利用することとし、平成5年3月から艦載機離着陸訓練を実施しています。三宅島における離着陸訓練が困難となった現在、恒常的な新たな施設が検討されていますが、基本的には硫黄島で実施され、天候等の事情により実施できない場合は、厚木、岩国及び三沢飛行場で実施されています。
イージス艦導入
平成5年3月、わが国初のイージスシステム搭載の護衛艦として、平成2年5月から建造されていた「こんごう」が就役しました。イージスシステムは、FMS調達により導入され、水平線から天空までの広範囲で脅威度の高い10目標以上に遠距離から対処できる、従来のミサイルシステムに比較して性能が格段に優れている防空システムです。米海軍以外では、海上自衛隊が初めて装備するシステムで、4隻建造される計画です。(平成29年3月現在、6隻のイージス艦が就役しており、以後2隻の追加が計画されている。)
FMS調達(有償援助調達)は、米国政府が同盟国及び友好国等に対し、武器等の装備品を有償で提供する制度で、日米間においては日米相互防衛援助協定に基づいておこなわれています。FMS調達は、米国が安全保障政策の一環として行っている有償援助であり、調達条件は米国政府により定められています。一般的な輸入に比較して、米軍が使用している有効な武器等の装備品が入手できる反面、単価や納期は米国の都合により左右される場合があります。
(注)・FMS調達:Foreign Military Sales(有償援助調達)
ミサイル、砲弾、武器システム、軍用機等の調達実績がある。
・イージスシステム:Aegis System イージス(Aegis)は、ギリシャ神話で盾の意味
性能の比較: 従来システム イージスシステム
レーダー探知履域の拡大 百数十Km以上 数百Km以上
リアクションタイムの短縮 約1/2以下
同時対処可能目標の増大 数目標 10目標以上
最大射程の延伸 18Km 100Km以上
参考サイト
◆防衛省・自衛隊ホームページ
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◆防衛白書とは?(10)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(11)中央指揮システムの設置と女性自衛官活躍の拡大
◆防衛白書とは?(12)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(13)在日米軍の施設と関連費用とは
◆防衛白書とは?(14)次期支援戦闘機(FS-X)の選定
◆防衛白書とは?(15)大喪の礼と自衛隊
◆防衛白書とは?(16)即位の礼と自衛隊 定年延長について
◆防衛白書とは?(17)湾岸戦争と自衛隊 防衛白書平成3年版
◆防衛白書とは?(18) 国連を中心とした人的な面での活動に対する協力