第20回目の「防衛白書」は、前年に引続き平成6年に発刊されました。
この年の白書は、防衛庁・自衛隊の創設40年目に当たることもあり、自衛隊40年の変遷を特集しています。
自衛隊40年間の軌跡
昭和20年の第2次世界大戦の終結に伴い、わが国は連合国の占領下に置かれました。昭和25年、東西対立の流れの中で朝鮮戦争が勃発し在日米軍の主力が半島に展開したため、不安になった国内の治安維持を任務とする警察予備隊が創設されました。昭和25年には対日講和条約(サンフランシスコ講和条約)と日米安全保障条約が調印され、わが国は主権を回復しました。
昭和29年、警察予備隊と海上保安庁にあった海上警備隊が統合され、自衛隊が発足しました。東西両陣営の対立が激化する中で、わが国の国力が着実に回復することに対応して、自国の防衛力の漸進的な整備が進められました。昭和32年、防衛政策の基本となる「国防の基本方針」が決定され、自由と民主主義という基本的な価値・理念を共有する米国との同盟関係を基本として国の安全を図ることを明確にしました。
冷戦の終結とともに世界的な規模での戦争の可能性は遠のきましたが、世界各地の宗教上や民族上の問題に起因する対立が表面化し、紛争に発展する可能性が高まりました。国連の機能強化、軍備管理・軍縮などの努力がなされていますが、自国の安全保障を担保するためには必要最小限の基盤的な防衛力の整備が必要です。昭和51年、新たな防衛力を整備、維持及び運用するための指針として「防衛計画の大綱」が定められました。
地域紛争の解決に向けた取り組みの中で、国際連合の国際社会の平和と安全を維持する機能が従来に増して期待されており、世界各国も何らかの形で地域の安定の維持・回復に貢献することが求められてきました。自衛隊は、国連平和維持活動として、平成4年からカンボディアへ部隊を派遣しており、平成5年からはモザンビークへ部隊を派遣し、輸送調整業務等の国際平和協力業務を実施しています。
自衛隊が国連平和維持活動に参加するのは、厳しい環境下で自衛隊の技能、経験及び組織的な機能を自己完結的に活用することができると判断されたからです。
※ 対日講和条約:サンフランシスコ平和条約と呼ばれることがある。
日本と米国等の連合国47カ国との間で調印された平和条約で、
これによって占領は終結して独立を回復した。
参考サイト
◆防衛省・自衛隊ホームページ
◆防衛白書とは?(1)防衛白書の歴史
◆防衛白書とは?(2)作成の方針
◆防衛白書とは?(3)防衛白書と防衛大綱
◆防衛白書とは?(4)防衛力強化の取り組み
◆防衛白書とは?(5)シビリアン・コントロール
◆防衛白書とは?(6)新階級「曹長」と予備自衛官
◆防衛白書とは?(7)日米協力と機密情報保護
◆防衛白書とは?(8)防衛予算の金額と防衛記念章の規定
◆防衛白書とは?(9)冷戦の縮小とフォークランド紛争の教訓
◆防衛白書とは?(10)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(11)中央指揮システムの設置と女性自衛官活躍の拡大
◆防衛白書とは?(12)部外協力活動の取り組みと米国との相互技術交流
◆防衛白書とは?(13)在日米軍の施設と関連費用とは
◆防衛白書とは?(14)次期支援戦闘機(FS-X)の選定
◆防衛白書とは?(15)大喪の礼と自衛隊
◆防衛白書とは?(16)即位の礼と自衛隊 定年延長について
◆防衛白書とは?(17)湾岸戦争と自衛隊 防衛白書平成3年版
◆防衛白書とは?(18) 国連を中心とした人的な面での活動に対する協力
◆防衛白書とは?(19)米軍の夜間離着陸訓練場所の変更とイージス艦の導入